食用そっくり「春の毒草」にご用心

2019年04月23日 07時15分

ギョウジャニンニク(東京都薬用植物園提供)

 春の味覚にご用心。群馬県は20日、渋川市の70代夫婦が有毒のイヌサフランを食べて食中毒を発症したと発表した。野草と思って食べたのが毒草だったという事故が各地で相次いでいる。春は特に野草がおいしい季節。毒草の見分け方など専門家に注意点を聞いた。

 夫婦は17日、知人宅に自生していた「ギョウジャニンニク」をもらって炒めて食べた。嘔吐や下痢などの症状を訴えて救急搬送され、妻は軽症だが、夫は呼吸困難を起こして意識不明の重体だ。

 夫婦が食べたのはギョウジャニンニクに葉がよく似たイヌサフランと判明。写真を見ても、違いが分からない。全国的に誤って食べるケースは例年発生している。

 東京都薬用植物園(小平市)の主任研究員中村耕さんは「芽生えたころの見分けは難しい。確実に違うのは匂いと球根の形。ギョウジャニンニクは葉をちぎっただけではわかりにくいが、ちぎってもむとニンニクの香りがする。球根はラッキョウ型で、イヌサフランのチューリップのような球根と異なる。また、ギョウジャニンニクは7月に白い花、イヌサフランは9月にピンク色の花を咲かせる。匂いで判別して」とアドバイスする。

 中村さんに、ほかにも間違えやすい野草の注意点を聞いた。まず、フキノトウと有毒のハシリドコロ(写真)。「芽生えたときはソックリ。素人さんが区別するのは難しい。フクジュソウとも混同されがち」

 食べたら一発で死ぬと言われているのが有名なトリカブト。「ニリンソウに葉が似ていて、誤食がよくある。秋に紫色の花をつけるトリカブトに対して、ニリンソウは春に白い花」

 オオバギボウシ(別名ウルイ)とバイケイソウ(有毒)の事故もすでに発生しているという。今回の事故のように、調理・加熱しても野草の毒は消えない。「バイケイソウのプロトベラトリン(アルカロイド)も熱を加えても解毒されない」

 野草を採りに行く際の注意点は「専門家と一緒に行く。似ているものは採らない、食べない、譲らない」。育てる際には、絶対に同じ畑や庭に植えないこと。隣同士に植えるのはもってのほか。名札も付けること。

 しかし、店頭に並ぶこともある。秋田県秋田市のスーパーの産直コーナーでスイセンがニラと誤って販売され、購入して食べた女性が2日に食中毒になった。店で「ニラ」と表示されたものを怪しむ人はいない。

 また、山形県では19日、県内の60代女性が自宅の庭に生えていたスイセンをニラと間違えてチヂミにして食べ、約30分後に吐くなどし、食中毒の症状を訴えて医療機関を受診した。スイセンは有毒成分のヒガンバナアルカロイドを含み、葉がニラと似ている。

 本紙の取材前に中村さんは講習会でニラとスイセンを見分けさせていたが、参加者からは「並べると本当に分かりにくい」という声が上がったという。

 なので、中毒にならないとは言い切れない。「自分で応急処置するのは悪化させる原因となりかねない。医者にみてもらうのが一番。その際は原因と思われる野草も一緒に持っていくこと。診察で参考にしてもらえる」と指摘した。