ノートルダム大聖堂火災に見る「消防ドローン」の必要性

2019年04月17日 16時00分

15日に燃え上がったノートルダム大聖堂(ロイター)

 フランス・パリのノートルダム大聖堂で15日夕刻(日本時間16日未明)に起きた大火災は、世界中に大きな衝撃を与えた。なすすべなく、屋根や尖塔が焼け落ちていくさまにトランプ米大統領は「空中から水を積んだ飛行機で消火できないのか」とツイッターでつぶやいた。実はドローンによる消防活動は既に実用化目前の段階にある。

 火災発生後、フランス消防局は大聖堂内部からの放水と周囲からクレーン車による放水で消火活動に当たったが、火の手は衰えることがなかった。この映像を見てしびれを切らしたトランプ大統領が冒頭のツイートに及んだ形だが、同消防局側は「何百人もの消防士が全力を尽くしている。ヘリコプター等の上空からの放水は大聖堂を全壊しかねないので、行えない」と反論し、物議を醸した。

 確かに林野火災などで対応する消防ヘリコプターが出動していたら、周辺の建物までも放水の勢いや風圧で壊しかねず、出動できるハズもなかった。

 都市部での高層火災で活躍が期待されるのが消防活動用のドローンだ。元東京消防庁消防官で防災アナリストの金子富夫氏は「消防ドローンであれば、消火弾(消火剤)や水を積んで、上からだけでなく、斜め上や横から噴射・発射し、消火活動が可能です。窒素ガスなど気体系の消火剤もあるので、建物を壊すことなく、消防士の身に危険が及ぶこともなく、消火活動ができる」と指摘する。

「空飛ぶ消防車」となる消防ドローンは研究・開発が進んでいる一方、ドローンを取り巻く法規制の壁が立ちふさがり、世界各国でも、試験段階で実用化されていない。

「タワーマンションや高層ビル、高い建造物など日本でも高所火災への対応には限界がある。消防ドローンが50~100機の編隊を組んで、消火活動に当たれば、相当な効果が期待できる」(金子氏)

 トランプ大統領が発したひと言で、消防ドローンの出動する時代が一気に開けるかもしれない。