「世界で最も美しいカエル」捕獲した業界プロ2人に批判の声

2019年04月10日 07時00分

アマミイシカワガエル(提供写真、奄美市立奄美博物館・平城達哉氏)

“世界で最も美しいカエル”を繁殖させ、大儲けをたくらんだ!? 鹿児島県奄美大島に生息する希少種のアマミイシカワガエルなどを密猟したとして、いずれも都内在住のペットショップ店長とフリーライターの男が逮捕された。「世界で最も美しいカエル」ともいわれ、闇取引では1匹10万円の値がつくこともあるという。関連業界に身を置きながらカネに目がくらんだのか、種の保存法、動物愛護法など計5つの法律と条例に違反した2人には猛批判の声が高まっている。

 希少種アマミイシカワガエルなどを密猟したとして、警視庁本部の生活環境課と万世橋署、鹿児島県警生活環境課と奄美署と瀬戸内署に8日までに逮捕されたのは、ペットショップ店長天野利光容疑者(50)と、フリーライター奥山風太郎こと園部友康容疑者(42)。

 種の保存法、動物愛護法、文化財保護法、鹿児島県文化財保護条例、宇検村希少野生動植物保護条例(鹿児島県)の計5つの法律と条例に違反した疑い。

 両容疑者は昨年7月12~18日、奄美大島の路上で希少種で県天然記念物のアマミイシカワガエル2匹とオットンガエル2匹、宇検村指定希少種のアマミハナサキガエル10匹を捕獲した疑いが持たれている。同月19日ごろに奄美空港内で希少種トカラハブ9匹と、国指定天然記念物ムラサキオカヤドカリ5匹を保管した疑い。

 19日に同空港職員が所持品から生き物を発見した。逮捕容疑の5種28匹だけでなく、ほかにも奄美大島に生息している多種多数の生き物を所持していた。2人は調べに「希少種とは思わなかった」と供述しているという。

 2人は容疑を認めたうえで「飼育する目的だった」と供述しているというが、あるマニアは「特に“世界で最も美しいカエル”といわれるアマミイシカワガエルは1匹5万~10万円で取引される。つがいで飼育し、繁殖して闇販売する目的だったのでは」とも話す。

 まるで“金の卵”を産むカエル。繁殖に成功すれば10匹で100万円も夢ではなかった? だが、そのために2人の容疑者は、それぞれのキャリアを棒に振ってしまったわけだ。

 爬虫類業界では名が知られていた2人の行為は、爬虫類販売業界全体の評判をおとしめるとしてSNSでも落胆と怒りの声が上がった。天野容疑者が中野店で店長を務めていた「爬虫類倶楽部」は「ハチクラ」と呼ばれて親しまれてきただけに、かいわいでは衝撃が広がっている。

 園部容疑者はカエルや昆虫に関する書籍を多数著していた。図鑑を出した発行元「山と渓谷社」は8日、ツイッターで「この度、弊社図鑑の執筆者が種の保存法違反の疑いで逮捕される事態が起こりました。容疑が事実であった場合、このような犯罪は許しがたいことで、ただただ驚きと怒りを感じています。今後、このようなことがないように、執筆者選びには細心の注意を払っていきたいと考えております」と投稿した。今後、同じ業界で仕事をするのは難しくなるだろう。

 事件発覚から逮捕まで約9か月の時間がかかったのは、押収した生き物の特定作業に時間がかかったからだ。警察の捜査に協力したのが奄美市立奄美博物館だった。

 同博物館の自然分野担当・平城達哉さんは「慣れた我々なら見ればすぐわかるけど、警察のかたが何十種も特定するのは難しく大変だったと思う」と労をねぎらったうえでこう語る。

「アマミイシカワガエルは黄緑色の下地に金色で縁取った黒の斑点が美しい。鳴き声も甲高く、知らない人なら聞いてもカエルと気付かないでしょう。カエル好きなら一度は見てみたいカエルです」(平城さん)

 奄美大島の森に近いエリアで、雨の日に見られることもあるという。

 両容疑者が「希少種と知らなかった」と供述していることに、平城さんは「ペットショップで店長をしていたり、カエルの図鑑を出されていたりするなら、知らないわけがないと思う」と指摘した。

 飼育や販売目的。どんな目的であろうと許される行為ではない。平城さんは「アマミイシカワガエルはうちの博物館にもいるので、ぜひ来てください」と正規ルートでの観賞を呼びかけている。