家裁前で離婚調停中の夫が妻刺殺 トラブル続出の場で警備は盲点だらけ

2019年03月22日 17時00分

 東京・霞が関にある東京家庭裁判所の玄関前で、埼玉県所沢市のウィルソン香子さん(31)が、離婚調停中の夫で米国籍の男(32)に刃物で刺され、死亡した事件が20日に起きた。警備態勢の盲点が露呈し、新たな課題も出てきた。

 警視庁の調べによると香子さんは同日午後、離婚調停のために家裁を訪れた。男は玄関付近で待ち伏せしていたとみられ、隠し持っていたナイフで香子さんの首付近を刺した。日比谷公園に逃走したが、5分後には身柄を拘束され逮捕された。

 法曹関係者は「裁判所は争い事を解決する場ですから、当事者や弁護士、支援者、関係者同士が顔を合わせた時にもめやすい状況がある」と話す。

 東京家裁は霞が関の東京家裁・簡裁の合同庁舎内にあり、東京高裁や地裁、簡裁(刑事)が入る合同庁舎の向かいにある。どちらも入庁時は金属探知機とエックス線による手荷物検査が行われるが、玄関前はノーチェック。歩道に面する入り口の看板は、過去に何度もペンキをかけられる事件が起きていて、香子さんの夫もこの警備の死角を突いた格好だ。さらに霞が関の合同庁舎は、より危険な状況に陥る可能性がある。今年4月1日以降、地裁側と家裁側にあったエックス線検査の警備ゲートを地裁側だけに縮小。家裁だけに用事がある場合も手荷物を持っている場合は、地裁側から入庁しなくてはならなくなる。

 裁判所周辺で不審者を片っ端から職務質問して、手荷物検査を行うワケにもいかない。警備の限界があり、有効な再発防止や対策はないのが現状だ。