【カンボジア強盗殺人】日本人容疑者の末路

2019年03月20日 07時00分

 カンボジア警察当局は18日、世界遺産のアンコールワット遺跡群で知られる北西部シエムレアプの近郊で、借り上げたタクシーの運転手を殺害したとして殺人容疑で、いずれも日本国籍、職業不詳の石田礼門容疑者(23)と、中茎竜二容疑者(23)を逮捕したと明らかにした。関係者によると、石田容疑者は元陸上自衛官。日本人の若者がカンボジアで強盗殺人事件を起こし、現地警察に逮捕されるというのは前代未聞だ。しかも、両容疑者は地元民に捕らえられボコボコにリンチされた。

 逮捕容疑は、17日に借り上げた車でシエムレアプ近郊を移動中に、地元の運転手(40)を刃物で殺害した疑い。奪った車で逃走中に事故を起こして犯行が発覚、同日逮捕された。

 両容疑者は16日、カンボジアに入国。17日はタイ国境の北西部バンテアイミアンチェイ州からシエムレアプに向かっていたという。

 逮捕されたのは2人だが、事件を起こしたのは3人。1人が逃亡しているという。

「3人がカンボジアに入国した場所はタイとの国境の街、ポイペト。ここから車で2時間ほど東に走れば、世界遺産アンコールワットがあるシエムレアプの街だ。日本人旅行者にも定番のコースといえる」とバンコク在住の記者が解説する。

「一般的には、バンコクかシエムレアプで国際バスなどを手配してポイペトを通過していくが、3人は国境で乗り合いタクシーをチャーターしている」(同記者)

 その後はシエムレアプを目指して走っていたようだが、3人は突如、運転手の金を盗むために暴行を加え、殺害。遺体を国道6号線の路上に放り投げ、車を盗んで逃走する。

 しかし事件を聞きつけた地元民が殺到し、また慌てていたのか車の操作を誤り、国道そばの柱に激突し大破。駆けつけた地元民によって車から引きずり出されて2人は捕まり、その場で殴る蹴るのリンチを食らった。もう1人は現場から逃げ出し、現在も行方が分かっていない。

 現地シエムレアプ州警察に逮捕された中茎容疑者と石田容疑者は、リンチを受けたためか上半身裸のうつろな表情で取り調べされる様子が、地元紙「スメイ・ロード」などに掲載された。

 シエムレアプには旅行会社やホテルなど観光関連で働く日本人が多数在住しているが、日本人の1人は「カンボジアで日本人が犯罪に関わるというとドラッグがほとんどで、強盗殺人なんて聞いたことがない」と驚く。

 シエムレアプはアンコール遺跡に加えて、昔の日本を思い起こさせるような風光明媚な農村も広がり、日本人には人気。とくに両容疑者と同年代の大学生が、いまも卒業旅行で多く滞在している。ボランティアやホームステイなどで地元民と触れ合う若者もおり、事件をきっかけに反日感情が生まれないか懸念される。

「もともとポイペトのタクシーは悪質な運転手が多く、道中で強盗に豹変するケースもあり、日本人の被害者もいた。しかし逆に日本人がタクシー強盗に手を染めるとは、あまりにも恥ずかしい」(現地旅行会社勤務日本人)

 現在は地元警察による取り調べと、逃走したもう1人の捜索が続けられている。逮捕された2人は「カネが欲しかった」と供述しているが、いかにもたいした現金など持っていない様子のカンボジアのタクシー運転手を狙ったのはなぜか。警察当局によると、「両容疑者は容疑を認め、日本で借金があり、別の強盗に使うために車を奪おうとして犯行に及んだなどと供述している」というが、犯行の経緯などはまだ明らかになっていない。

 有罪となれば最高刑は終身刑だ。カンボジアの刑務所は収容人数が多く、衛生面にも問題があり、医療体制は整っておらず環境は劣悪だ。こまごまとした生活用品も現金で買わなくてはならず、外国人はなにかと賄賂を要求される。こうした凶悪犯罪の場合、日本大使館の支援も期待できない。一生を刑務所で過ごすことになるのかもしれない。