49人殺害・NZ銃乱射の戦慄動画 容疑者がネット生中継

2019年03月16日 17時00分

モスクがある通りで犠牲者に花を手向ける地元住民ら(ロイター)

 ニュージーランド南部クライストチャーチにある2か所のモスク(イスラム教の礼拝所)で15日に起きた銃乱射事件。少なくとも49人が死亡し、48人が負傷するという同国の犯罪史上例を見ない事態となった。警察は犯行に加わったとして3人の身柄を拘束。容疑者の一人はモスク内での殺りく行為をネットで17分間にわたって生中継していた。あまりにむごたらしい映像で、世界に衝撃が走っている。

 事件が起きたのは日本時間同日午前10時ごろ。クライストチャーチ中心部にある2か所のモスクに“白人の男たち”が侵入し、銃を乱射した。同日は金曜礼拝のため多くの信者が集まっていた。

 容疑者のうち1人はSNSで「ブレントン・タラント」と名乗り、28歳のオーストラリア人で“普通の白人男性”と自身を紹介。「イスラム教の侵入者を退治する」などとつぶやき、白人至上主義の思想を持ち合わせていた。ネットで中継したのもこの男だった。

 中継は運転する車の中から始まった。「パーティーを始めようぜ」と男は頭部のウエアラブルカメラで撮影しているとみられ、一瞬、カメラを自身に向け、顔が映し出される場面も。道中は一時停止や赤信号を守り、とてもこれから大量殺人行為に及ぶとは思えない冷静さだ。

 5分後に男はモスク横の路地に車を止めた。助手席にはマシンガンやショットガンが計3丁映っていたが、トランクを開けるとそこにもマシンガンが2丁、ガソリンが入っているのかポリタンクが2つ映った。マシンガンには意味不明の記号やイスラム教徒排斥を意味する「KEBAB REMOVER」などの文字、無数の「14」の数字が白で書き込まれていた。過去にイスラム教徒を狙ったテロなどを起こした人物の名前が含まれていたという。

 男は2丁の銃を手にモスクへ侵入。入り口で立っていた男性に向かって、突然8発を発砲し、その銃を投げ捨てた。室内に入ると、腰を抜かしたのか四つん這いになって廊下を逃げる人にも容赦なく背後から発砲した。

 モスクの大広間には発砲を聞いた十数人の人たちが部屋の隅で身をかがめていたが、盾となる机やイスがない。男は言葉を発することなく連射し、逃げだした男性もすれ違いざまに撃った。

 残忍極まりない男は隅で固まる人たちにトドメを刺すかのように一人ひとりに発砲。うめきや助けを求める声も聞こえてくるが、男には動揺する様子が全く見受けられず、銃を連射し続けた。

 男がモスクから出たのは侵入から2分後。この間、マシンガンのマガジン(弾倉)を少なくとも4度替えており、130発以上は発砲していた。

 凶行はまだ終わらなかった。車に戻ると、もう1丁のマシンガンを手にまたモスク内に侵入。再び大広間では既に絶命しているとみられる人たちに向かって、執拗に発砲し続けた。

 2分後、モスクを出て、車に戻る際には通行人にも発砲。負傷した女性はうつぶせになりながら「ヘルプミー」と助けを求めたが、男は容赦なく頭部に2発の引き金を引いた。再侵入でも50発以上を発砲したとみられる。

 車でモスクを去った後も生中継は続いた。路肩に止めていた車に乗り込もうとした女性を見つけるや男はなんとショットガンを車内からフロントガラス越しに発砲。また別の通行人にも助手席の窓越しにショットガンを発砲し、窓ガラスは粉々に砕け散った。その後、平然と街中を走り回ったところで映像は終了。男はその後、警察によって確保されたが、このモスクでは41人が殺害された。

 米NBCによると、ニュージーランドでは、銃が使われる犯罪自体極めて少ない。安全な国として、日本から多くの観光客や留学生が訪れていたが、今回の惨劇は世界を震撼させた。

 タラント容疑者は2011年に77人が死亡し、100人以上が負傷したノルウェー連続テロ事件に触発され、今回の犯行に及んだという。模倣犯や報復劇が起きる可能性があり、モスクや学校、公共施設は閉鎖された。ニュージーランドのみならず他の国々でも警戒が呼びかけられ、血で血を洗う報復合戦にならないことを祈るばかりだ。

 なお、殺人容疑で訴追された20代の男が16日、クライストチャーチの裁判所に出廷した。