ゴーン被告 日産株主総会に殴り込み?

2019年03月14日 07時00分

弁護団会議を終え、事務所を出るゴーン被告(ロイター)

 対決実現の場は株主総会か? 日産自動車、ルノー、三菱自動車の各トップが12日、共同会見を開き、3社連合の戦略を決める新組織設立を発表した。会社法違反(特別背任)などの罪で起訴された日産前会長のカルロス・ゴーン被告(65)はこの日行われた同社取締役会への出席を東京地裁に却下され、日産は着々と“ゴーン完全排除”に動いている。だが、ゴーン被告も黙っているハズがない。自らを告発した西川広人社長(65)と対峙する可能性も残されているようだ。

 新組織はルノーのジャンドミニク・スナール会長が議長を務め、日産の西川社長兼最高経営責任者(CEO)、ルノーのティエリー・ボロレCEO、三菱自動車の益子修会長兼CEOが加わる。スナール氏は4月8日の日産の臨時株主総会で取締役に就く運びで「日産の取締役になることを光栄に思う。私は日産の会長になろうと思っていない」と語った。

 一方で笑顔が絶えないのが“明智光秀”ともやゆされる西川社長だ。報道陣からは「フランス側が、日本人をバカにしているように見える」「ゴーン被告の暴走は、西川CEOの責任では」という質問も飛んだが、西川社長は発言の余波を恐れたか、ゴーン事件に言及することはなかった。
 日産にとっては新たな船出の日ともいえるが、ゴーン被告にはそう映ってはいなかったようだ。この日、弁護人を務める弘中惇一郎弁護士の事務所を初めて訪問。約8時間にわたって、弁護団とミーティングを行った。

 弘中氏によると、その中でゴーン被告は「日産がこのままで大丈夫かと心配だ。日産を支えていくにはそれなりのリーダーシップが必要」と漏らしていたという。つまり西川体制では、大変革期を迎えている自動車業界で勝ち残れないというのだ。

 ゴーン被告は当初、この日の日産取締役会への出席を希望したが、東京地裁が許可せず、代理人を通じて「失望した」との談話を発表していた。

 司法取引という内部告発の形で日産を追われたにもかかわらず、ゴーン被告は取締役会への出席を熱望し、いまだ日産の将来を心配するなど、その“日産愛”は尋常ではない。そんなゴーン被告だけに今後も機会があれば、なんらかの形で“介入”を試みることが予想される。

 その舞台として考えられるのが株主総会だ。ゴーン被告と、ともに逮捕されたグレッグ・ケリー被告の両取締役の解任とスナール氏の選任を決める臨時株主総会は4月8日に開かれる。また、6月の定時株主総会では全取締役の選退任等が決められる。

 ゴーン被告はこれまでは会長として経営者側で出席し、株主らに説明する立場だった。一方で日産株を313万9000株(約29億円相当)も保有する株主でもあり、株主総会に出席する権利は当然ある。

 昨年6月に開かれた日産の株主総会では4188人の株主が参加し、7人の株主がルノーとの提携関係や無資格検査問題などを当時は会長だったゴーン被告に質問していた。

 今度はゴーン被告が一株主として株主総会に出席し、さらに挙手して、西川社長に質問する事態もあり得るワケだ。逮捕・起訴に至ったゴーン追放劇には株主の中でも賛否があるだけに、もしゴーン氏が現れた場合、どのような反応を呼ぶかは予想がつかない。出席を拒まれる可能性もあるが、保釈時のように“変装”して何とか入場し、発言を求める方法もあるだろう。

 ゴーン被告の株主総会への出席可能性について、弘中氏は「議題に出たが、結論的には“多分、行かない”という方向。ただ、時間があるのでまだ分からない」。

 ゴーン被告が開催を希望している記者会見も「言うことを決めてから出たいので時間をください」とリベンジ策を熟考しているだけに、株主総会に向けても何らかのアクションを起こすのは確実だ。