時限爆弾が!カンボジア西部のカジノ街ポイペトに 容疑者逮捕も動機不明

2019年02月14日 17時00分

現場のゴールデン・クラウンカジノ

【アツいアジアから旬ネタ直送 亜細亜スポーツ】カンボジア西部ポイペトのカジノ街で10日、時限爆弾パニックが起きた。

「ポイペトはタイとの国境の町で、カジノが10軒ほどある。客はカジノ禁止の自国から遊びに来るタイ人がほとんど。またタイから陸路で世界遺産アンコールワットを目指す時に通るため、バックパッカーにもおなじみ」(バンコク在住記者)

 現地メディア「DAPニュース」によると、現場はタイ入国管理局に近く、両国の軍や警察関係者が多い街中心部にある「ゴールデン・クラウンカジノ」。併設されたホテルの客室の浴室で、発泡スチロール箱を見つけた従業員が不審に思い、警備員を呼んで調べたところ、カウントダウンタイマー付きの爆発物らしきものが出てきた。

 慌てた警備員はすぐその箱をカジノの外へ運び出し、万が一に備え、周辺を古タイヤの山で覆い隠した。地元メディア「フレッシュ・ニュース」によると、急行した軍関係者により、本物の爆弾だと確認されたという。客は全員退避。カジノ街一帯は封鎖され、国境を越え、逃げ出す人もいて現場は大パニックに陥ったという。

 だが、その場に居合わせた国境警備隊では処理できず、動員されたのはCMAC(カンボジア地雷対策センター)のチーム。カンボジアの“負の遺産”である地雷は相当数が撤去されたが、国境地帯などにはまだ残存しており、CMACはその対処に当たる組織だ。爆弾は安全な場所で爆破処理され、その衝撃で近くのカフェの窓が割れたものの、幸い負傷者はゼロ。

「ポイペトのカジノは見た目こそハデだが、造りは粗雑で併設ホテルの部屋もショボい。もし爆発が起きていたら、火災が広がり大惨事になっていたはず」とは、カジノ常連客の日本人。

 地元警察により逮捕されたのは、ホームレスのレイ・キム・レーン容疑者(39)。犯行動機については捜査中で、逮捕経緯なども発表されておらず、真相は分かっていない。ただ容疑者供述などから、当局は「爆発物はまだ5つ以上隠されている可能性がある」と警戒を呼び掛けている。また現場カジノのオーナーである与党・人民党コック・アン上院議員の利権を狙ったテロの可能性も指摘されている。

 ポイペトは1990年代後半まで、“虐殺集団”ポル・ポト派の勢力圏内だった危険地帯。同派が壊滅し、国境が一般に開かれてからも、治安の悪い街として知られていたが、治安は少しずつ良くなっている。「昨年から内戦時代に破壊された鉄道が復活。今年はタイとの国際列車が開通予定で、祝福ムードが高まる中での事件だった」(現地記者)

 ギャンブル好きのタイ駐在員やバックパッカーなど日本人も訪れる地だけに、事件の背景が気になる。(室橋裕和)

☆むろはし・ひろかず 1974年生まれ。週刊文春記者を経てタイ・バンコクに10年居住。現地日本語情報誌でデスクを務め、2014年に東京へ拠点を移したアジア専門ライター。最新著書は「おとなの青春旅行」(講談社現代新書)。