日本人3人監禁恐喝男 タイで急死の不可解

2019年02月13日 17時00分

 日本人の男女3人を監禁し、約1100万円を奪ったとして逮捕されていた韓国人の黄健一(ファン・ゴニル)容疑者(27)が、タイの留置場で死亡した事件で、現地できなくさい噂が浮上している。タイ警察が「黄容疑者が死亡した」と発表したのは死後7日たった10日のこと。この不可解な“時間差”に、一部で「関係する犯罪者グループが警察に手を回して消した」とささやかれている。かつてはワイロが横行していたというタイ警察だが、容疑者を抹殺することなどできるのか?

 黄容疑者は昨秋、出会い系サイトで知り合った山口県出身の女性(24)をバンコク都心部のマンションに監禁、暴行を加え、女性の両親に送金させ、約200万円を奪ったとされる。

 さらに女性の弟(21)とその知人男性(21)もタイに呼ばせて、彼らも監禁、暴行。日本から送金させ、弟から約800万円、弟の知人から約80万円を奪った疑いを持たれていた。
 
 被害女性が監禁先のマンションから逃げ出し、日本大使館に駆け込み事件が発覚。黄容疑者は暴行や監禁容疑で1月28日に逮捕され、31日には別の警察署に移送された。その後、留置場で3日に心臓発作を起こして急死したという。

「タイの留置場はたいてい警察署の2階にあり、コンクリート造りのシンプルなもので、鉄格子がはめられている。その外側にはまた鉄格子があって、見張りの警官がいます」と話すのは「バンコクアソビ」などの著書があり、刑務所事情に詳しいタイ在住のライター・髙田胤臣氏。

「外側の鉄格子越しに面会ができますが、日本の留置場よりオープンな印象」と語る。

 タイ警察は黄容疑者の死亡の経緯を明かしていないため、さまざまな臆測が乱れ飛んでいる。

「黄容疑者は、被害者から奪った金を何らかの投資に回していたという噂がある。バンコクでは韓国人による不動産などへの投資が盛んだが、詐欺の話も聞く。昨年は韓国で指名手配された詐欺師の男女が、バンコクでもタイ人や現地在住韓国人に架空の投資話を持ちかけ逮捕された。黄容疑者はこうした連中に関わっており、何らかの秘密を知っていたのでは。そのグループが警察に手を回し“消された”のではないかとささやかれている」とバンコク在住の日本人駐在員。

 黄容疑者は、被害者たちに「俺はマフィアに知り合いがいる」「殺して臓器を売るぞ」などと脅し、金を奪っていた。荒唐無稽な脅し文句とみられていたが、近年はタイで逮捕される韓国人が急増。9日にはニセの宝くじサイトを運営し、国際手配されていた韓国人の男(53)が潜伏先のバンコクで逮捕された。

 また17年にはタイ人女性を韓国に送り込み、売春をさせた人身売買容疑で韓国人の男(39)が逮捕。黄容疑者がこうした組織に関係していた可能性も否定できない。

 一方「今のタイはもう(警察への)ワイロなどで被疑者の“口封じ”をするような時代ではない」とバンコク在住記者はこう語る。

「外国人犯罪の場合、加害者でも被害者でも、まず大使館にすぐ連絡が行く。軽微なものならともかく今回のような重大事件なら、黄容疑者の状況は逐一、韓国大使館に報告されていたはず。その中で、警察がむちゃな行為をするとは考えにくい」

 現在のタイは軍事政権だ。警察とは利権争いも激しく、対立がクローズアップされている。

「その軍政が特に取り締まっているのが公務員のワイロ。警察も神経をとがらせており、汚職には厳しく当たっている」(記者)

 前出の髙田氏も「タイでもSNSは普及し、すぐに“炎上”する時代。留置場内で何かあれば、収監されている犯罪者や面会の家族にすぐ知れ渡り、SNSで拡散される。日本の留置場より人目のあるタイの留置場で警察が何らかの手を下すとは思えない」と語る。

 黄容疑者が搬送された病院は「うっ血性心不全」と診断した。「成人病による動脈硬化から引き起こされる場合が多いが、心臓に対する圧迫や強度のストレスによって急激に症状が現れることもある。日本でも取り調べや職務質問中に暴れた者を警察官数人で制圧したところ、心不全で突然死したケースがある」(医療関係者)

 黄容疑者は容疑を否認していた。ストレスも加わり、取り調べを拒否するなど留置場内でトラブルを起こし、警察官に取り押さえられたとも考えられる。タイ警察は詳しい経緯を調査中としているが、こうした事件は結局うやむやになるのがタイの通例だ。