中国春節の人気サービス「レンタル恋人」の落とし穴

2019年02月06日 07時15分

 5日は中国の旧正月にあたる春節。同国のオンライン旅行大手、携程旅行網(シートリップ)は、春節に伴う大型連休(4~10日)前後に海外へ出かける中国人旅行客数が、前年より約50万人多い延べ700万人近くになるとの予測を発表した。日本は人気渡航先ランキングで昨年と同じ2位につけた。その一方で、故郷に里帰りする中国の若者に欠かせないのが“レンタル彼女・彼氏”だ。本紙でも過去に取り上げたが、これがいまや、犯罪を誘発させて大きな社会問題になりつつある。

 米国との貿易摩擦の影響などで中国は景気減速が鮮明になっているが、シートリップは「旅行に関する消費の勢いは衰えていない」と指摘。食事や宿泊に対して、品質の高さや個人の好みを追求する傾向が強まっているという。

 1位はタイ、3位以下はインドネシア、シンガポール、ベトナムと続き、東南アジアの国々が上位を占めた。出国ピークは大みそかにあたる4日ではなく、春節当日の5日になりそうだ。

 年末年始を海外で過ごす日本人がたくさんいるように、海外で正月を過ごす中国人が増えているというわけだ。中国は15の国とビザ申請の免除で協定を結び、72の国と地域で、ビザ発給を簡素化している。

 日本を訪れる旅行客の間では、“爆買い”ブームは落ち着き、雪景色や温泉を楽しみたいというニーズや、きれいな空気を楽しむ“洗肺”などのツアーになっている。日本政府が1月からビザの発給要件を緩和したことも、来日客増加のプラスに働きそうだ。

 もちろん、里帰りする人の方が多い。この大型連休には、約4億人が公共交通機関で大移動するのだという。しかし、独身者が里帰りすると、親が心配するのは日本も中国も同じだ。

 中国人ジャーナリストの周来友氏はこう語る。

「経済水準が上昇した中国では、独り身の生活を楽しむ独身主義の若者が増えていますが、一方で『子供の結婚こそ最大の望み』という伝統的価値観の親世代も少なくありません。だから、帰省すると、両親に結婚の予定を聞かれたり、お見合いをセッティングされてしまうので、若者にとって帰省は頭痛の種の一つになっています」

 とはいえ旧来、春節は出稼ぎで散ってしまった家族が、こぞって集まるための期間だ。

「そんな中国の若者の強い味方として根付いてきているのが、レンタル彼女・彼氏というサービスです。文字通り、金銭を払い一時的に交際相手になってもらって、一緒に田舎に帰省し、両親に紹介することで親を安心させ、結婚の話題を回避することができるのです」と周氏。

 中国事情通によると、レンタル彼女・彼氏は主にネットで自らを“出品”。相場は1日2000~5万円と幅広いが、超富裕層の独身企業家になると約2000万円の報酬でレンタル彼女を募集したという。

 周氏は「数日間も共に過ごさなくてはならないため、トラブルが頻発しています。レンタル彼女・彼氏の代金は、全額前払いのネット決済が一般的です。そのため、全額支払った後に突然、連絡を絶たれるという詐欺行為が横行しています。逆にレンタル彼女として連れて行かれた時に、性被害に遭うという事件も多発しています。レンタルというサービスを自称しながら、実質は売春で性的サービスを提供し荒稼ぎする犯罪組織も存在しています」と指摘する。

 また、レンタルとしての疑似カップルから、本当の交際、結婚に発展したケースもあるという。いずれにせよ、中国で問題含みの大きな社会現象となっている。