日産自動車の前会長カルロス・ゴーン容疑者(64)が金融商品取引法違反で起訴された事件で、同じく起訴された同社の前代表取締役グレッグ・ケリー被告(62)が25日夜、勾留先の東京拘置所から保釈された。東京地検は不服として準抗告したが、棄却された。

 保釈保証金は7000万円。ケリー被告は脊髄に持病があり今月7日に手術を控えていた中での逮捕。取り調べ中、手足のしびれを訴えていた。保釈後は茨城県内の病院に直行した。

 今後、焦点となるのはゴーン容疑者の“懐刀”といわれたケリー被告が何を話すかだ。ケリー被告は、ゴーン容疑者が過去8年にわたって役員報酬を有価証券報告書に記載していなかった虚偽記載に手を貸していたとされる。

「ゴーン容疑者の報酬支払いの覚書に、日産の西川広人社長もサインしていたとされ、巨額報酬を知っていたんじゃないかという話になっている。ケリー被告の証言次第では、特捜部の捜査の不公平さが浮き彫りになり、西川社長も窮地に立たされる」(法曹関係者)

 また、今回の逮捕劇は国際的に厳しい視線にもさらされている。米国に住むケリー被告の妻ダナ・ケリーさんは「日産幹部の権力争いに巻き込まれただけ」「早く適切な治療を受けさせたい」と2度にわたって、ビデオメッセージで保釈を訴え、治療のため、米国への帰国を要望していた。

 東京地裁は保釈に海外渡航禁止などの条件をつけているが、ケリー被告側は米政府側とも相談。病気療養での一時帰国を認めなければ、「人権侵害」と騒がれかねない。

 保釈直前にケリー被告は弁護人を通じ「私は言われるような虚偽記載は一切やっていない。私が無実であることは、法廷で明らかにされていくでしょう」などとコメントを発表。今後、記者会見やメディア等のインタビューに応じるかが注目される。