泥酔させた女性をレイプした罪に問われている「リアルナンパアカデミー(RNA)」の塾長・渡部泰介被告(42)が初公判で全面否認の姿勢を明確にした。すでに一部の塾生らは裁判で事実関係を認めて実刑判決を受けているが、塾長は「無罪」を主張。勝算が隠されているのか気になるが、司法関係者は「イチかバチかを狙った戦術」と指摘する。また、女性に強い酒を飲ませる手口は「塾長がナンパでモテなくなってきたから」という情報も飛び出した。

 ナンパした女性に罰ゲームと称して度数の高い酒を飲ませ、抵抗できない状況で性交し、ハメ撮りしたデータを仲間内のLINEグループで共有…。RNAを設立して、女性をモノ扱いするデタラメな手口を約100人のメンバーに指導してきた塾長、渡部被告の準強制性交等罪の初公判は10日、東京地裁で開かれた。

 起訴状によると、塾長は塾生の大瀧真輝被告(29)と共謀の上、昨年11月13日未明から朝にかけて、新宿・歌舞伎町のラブホテルで被害女性に酒を飲ませて、抗拒不能であることに乗じて性交したとされる。

 黒縁メガネとマスクで顔を覆った塾長が認めたのは性交の事実だけ。

「大瀧と共謀した事実はありません」「ラブホテルで女性とワインクーラーというカクテルを飲酒しましたが、女性は飲酒により抗拒不能な状態になってはいません」「抗拒不能な状態であったという認識もありません」と完全否認して「無罪」を訴えた。弁護側は検察側の請求証拠すべてに同意せず、完全対立の形が出来上がった。

 この日の午前中には同じ事件で大瀧被告の論告求刑公判もあった。塾長との共謀を含めた事実関係すべてに争いはなく、検察による懲役8年の求刑にも「しっかり下された刑を全うする」と誓った。

 一方、塾長は無罪を主張するだけあって、反省の態度はない。法廷では大股開きで座り、威圧的な態度すら感じさせる。「塾生の羽生卓也は懲役7年の判決が出た。主導する立場の塾長は有罪の場合、それ以上の量刑となることは間違いない。無罪主張はイチかバチかを狙ったとみられている。しかし、一連の事件はすべて同じ裁判長が担当しているだけあって、無罪に“覆る”ことはなさそうだが」(司法関係者)

 初公判に臨むにあたり、警察の取り調べに対しては「警察バカヤローと叫んでやる」と宣言していた。

「裁判長が法廷に入ってくる前に実行しようとしていたそうだ。新宿署からの情報提供により、裁判長は被告人の入廷より前に席についた。暴言を吐かなかったのは、それを見てちゅうちょしたのでは」と前出の司法関係者。実際、捜査関係者らは「態度はデカいが、気が小さいところもある」と評している。

 RNAは設立当初から「飲酒」をナンパセックス成功のツールにしていたが「飲ませて女の子を良い気分にさせたらセックスできる。初めのうちはその程度の教えだったけど、強い酒を飲ませて酔い潰すという教えに変わっていった」(事件関係者)。

 この変遷について、塾生らの間では「アラフォーになった塾長は若い子にモテなくなった。それで酒に頼る手法を取るようになった」との認識が出るようになり、警察も塾生から同じ話を得ているという。モテなくなった悪あがきが事件につながったというのだろうか。

 次回公判(来年1月31日)では被害女性の証人尋問が行われる予定だ。大瀧被告も後に証人として法廷に立つ予定で、師匠や教祖のようにあがめていた塾長の前でどんな反撃を見せるのだろうか。「弁護士にヤメ検を雇っており、金には困っていない様子」(司法関係者)の塾長に“隠し玉”はあるのか。公判の行方に注目だ。