千葉・九十九里浜周辺で、無職・山田容子さん(75)の切断遺体が見つかった事件で、県警は23日に死体損壊・遺棄の容疑で、長男で会社員の山田基裕容疑者(37)を逮捕し、24日に千葉地検に送検した。

 バラバラ遺体は9月29日に胴体が九十九里浜周辺の河口付近で、10月2日に頭部と右脚、8日に左脚が海岸沿いで見つかっていた。身元は、県警が遺体の似顔絵を公開し、情報提供を呼びかけ、10月下旬に都内の歯科医院から治療痕に関する情報などが寄せられ、容子さんと特定された。

 送検容疑は、基裕容疑者が9月26~27日ごろ、自宅で容子さんの頭部や手足をのこぎりで切断し、遺体を遺棄した疑い。大筋で容疑を認めており、のこぎりは供述通り、九十九里浜方面に向かう途中のコンビニに捨てられていた。

 親子は2人暮らし。現場周辺の防犯カメラの映像や、容子さんが行方不明になったのに捜索願を出していなかったことなどから、県警が今月16日から任意で事情聴取を続けていた。自宅は土地・建物は親子共同所有だったが、9月中旬に容子さんの権利分が基裕容疑者に移されていた。

 遺体発見後、基裕容疑者は自宅1階にある浴室をリフォーム、遺体の運搬に使った自分の車のシートを張り替え、カーナビの履歴を消した上で売却も画策。容子さんの安否を尋ねる近隣住民には「母は昔の友人の所へ行った」「母は元気だ」と説明していた。

 動機について捜査関係者は「容疑者は警備会社に勤めており、金に困ってはいない。母親の年金目的で殺害の可能性は低い」と語る。容子さんは毎日のように外出し、ジムに通う姿を目撃していた近隣住民は「介護を受けるような状態ではなく、元気だったが(事件前に)2人が言い争っている声を聞いた」と語る。

 基裕容疑者を知る人は「(容疑者には)奥さんがいるが、奥さんは親の介護のため、家を出たと聞いている。嫁姑トラブルも考えられるのでは」と明かした。