2006年12月、東京・新宿区内のマンションで、生後11か月の桜井亜衣ちゃんが頭蓋骨骨折などの重傷を負い、約3か月後に死亡した事件で、警視庁は8日までに、相模原市の自称建築関連会社社員、堀田伸輔容疑者(42)を傷害致死容疑で逮捕した。

 当時、堀田容疑者は元妻とその連れ子の亜衣ちゃんと同居。事件当時、元妻は外出中で、堀田容疑者は自ら119番通報。病院などでは「こたつから落ちた」などと説明していたが、頭蓋骨骨折などがあったため、警視庁は事件性を調べていた。

 だが、捜査は難航。今回、逮捕にこぎつけたのはドラマのような特命捜査班の執念があったという。

「事件から12年が経過し、立件は困難といわれていた再捜査に今年3月から当たったのは、警視庁捜査1課の長期未解決事件(コールドケース)を担当する特命捜査対策室の捜査員。09年に発足した対策室は65人体制で常時100件以上の未解決事件捜査に当たっている」(捜査関係者)

 亜衣ちゃんの死因は硬膜下血腫などによる気管支肺炎だったが、複数の専門家による分析から、亜衣ちゃんは高さ40センチほどのこたつから落ちたのではなく、大人が壁に投げつけたくらいの人為的な衝撃を受けたと断定。

 さらに、虐待を受けた子供にみられる身体的変化にもたどり着いた。「胸腺と呼ばれる心臓近くにある臓器で、虐待を受けると萎縮し、免疫力が低下する。これが確認されたことで日常的に虐待されていたことが立証できた」(同)

 未解決事件を掘り起こし、真犯人を逮捕するのは刑事ものドラマや映画の定番。今年4月クールの坂口健太郎主演「シグナル 長期未解決事件捜査班」(フジテレビ系)をはじめ、WOWOWでも吉田羊主演「コールドケース~真実の扉~」のシーズン2が放送中だ。

 同対策室は上智大生放火殺人事件、世田谷一家殺人事件などの捜査も継続。ドラマのような解決が期待される。