“誘拐”ラブドール奇跡の生還! オークション出品で犯人判明

2018年11月01日 08時00分

生還したラブドール(左端の2体)と兵頭氏

 これも奇跡の生還か――。岩手県内の山中の産業遺産の廃虚で、2016年6月29日の夜から翌日未明、「八潮秘宝館」(埼玉県八潮市)館主で写真家の兵頭喜貴氏が撮影のため、所有するラブドールを置いていたところ、何者かによって盗まれてしまったことを本紙が報じたのは2年前の8月だった。そのラブドールが、今年の9月末に、兵頭氏の元に戻ってきたことがわかった。窃盗犯がネットオークションに出品していたことで足がつき、ラブドールは押収され、返却されたのだ。

 兵頭氏は当時、写真撮影のために現場にラブドールなどを持ち込んでいた。数日前から、撮影に向けセッティングを始め、翌朝も撮影をする予定だった。だが、翌朝戻ってみるとラブドールなどがこつぜんと消えていた。

 被害に遭ったのは、フルシリコーン製のボディー3体(1体約50万円)。ソフトビニール製のボディー1体(約7万円)。さらに、1個12万円もするシリコーン製のヘッド(頭の部分)が6個。いずれもオリエント工業製のものだ。従軍看護婦の制服(特注)3着などを含め、被害総額は約260万円に上った。

 本紙は16年8月16日発行で「怪奇? 岩手の廃虚から消えたラブドール」と報じ、兵頭氏の「手に入れて何をするのでしょうか? オークションなどで転売しようとしたらすぐ足がつくでしょう。一刻も早く返しなさい」とのコメントを掲載した。

 それから約2年3か月。兵頭氏はこう語る。

「戻ってきたのは、シリコーン製とソフビ製のボディー各1体、シリコーン製ヘッド2つです。それから、ウイッグ6つ、下着類、カメラバッグなどもあります。定価にすれば90万円くらいになります。ボディーやヘッドは、かなり傷んでいたのでショックを受けました。目玉を取り換えられていたものもあります。自分で直せるところは直して、扱いが難しいところはメーカーに修理に出します」

 生還のきっかけは兵頭氏が16年に本紙へコメントしたことだった。

「昨年、奪われたラブドールがネットオークションに出品されたことで、盗んだ容疑者が判明したのです。30体も生産されていないレアなヘッドを出品していたので、すぐに仲間から連絡がありました」(兵頭氏)

 時を同じくして、ラブドールを落札した人からも兵頭氏に連絡があり、出品されていたラブドールが本紙で報じられた盗品であることを確認することができた。

 昨夏、兵頭氏は岩手県警に盗んだ男の氏名・連絡先を伝えたが、その時点で警察は動くことはなく、その間も奪われたラブドールは次々と売られてしまった。しびれを切らした兵頭氏は、男に直接通告書を送付するなどしたことで、やっと警察が動き、ラブドールが押収された。

 兵頭氏は「戻ってきた人形には特徴がありました。手首を換装したので、両腕に目立つ接合跡があるんです。さすがにこれを出品したら足がつくと思ったんでしょうね。もう20年近く人形を使って撮影をし、感覚としては人形は自分の体の一部のようなもの。見えない神経を通じてつながっている感覚。本人と親には、ちゃんと責任を取ってもらいます」と話す。

 盗んだ男は、兵頭氏のブログに「人形置きっ放しにして、世間、警察に迷惑かけたのはあなたです。人形は警察が持ってきたのでしょうか? 税金が使われたのでしょうか? 人形を置いてきたせいでどれだけ迷惑がかかっているのでしょうか? コメントから謝罪ではなく、ブログの記事と、お会いした一人一人に誠意ある謝罪お願いします」と書き込んでいた。

 兵頭氏は今後もラブドールの撮影を続けていくという。私家版の写真集「金剛寺ハルナとその姉妹―大東亜戦役篇秘話~第840特殊看護部隊 斯クモ闘ヘリ~」も出版されたばかりだ。現在「八潮秘宝館」は秋の臨時公開中(11月23日まで)。戻ってきたラブドールも展示され、事件の顛末を聞ける可能性もある。