プーチンお手の物の逆バリ人事術 暗殺未遂容疑者は出世間違いなし

2018年09月16日 17時00分

 今年3月に英南部ソールズベリーでロシア軍参謀本部情報総局(GRU)の元大佐セルゲイ・スクリパリ氏とその娘が神経剤で襲撃された事件で、英当局が容疑者とするロシア人の男2人がロシアメディアで関与を全面否認した。殺人未遂の容疑者が堂々とメディアの前に出てくるのは驚きだが、この2人は今後、出世間違いないという。

 ロシア政府系テレビ局「ロシア・トゥデー」(13日放送)のインタビューに応じたのはボシロフとペトロフの両容疑者。2人はスクリパリ氏の自宅近くの監視カメラに写っており、宿泊したホテルで神経剤ノビチョクが検出されたことから英当局は容疑者と特定していた。

 2人は3月2~4日に観光目的で英国入りし、宿泊していたロンドンから約120キロ離れた事件現場には3、4日に連日訪問したが、聖堂見学が主で、「偶然の一致」と主張している。英当局からGRU職員とされた点にも「フィットネス産業」と否定した。

 ロシア情勢に詳しいジャーナリストの常岡浩介氏は「過去にもKGB職員だったリトビネンコ氏が英国で殺害された事件で、容疑がかかったKGB元職員はマスコミの前で無実を訴え、揚げ句、国会議員にまでなった。アメリカでスパイ容疑で捕まったロシア人女性スパイも今やロシアでテレビキャスターを務めている。米英で暗殺の実行犯やスパイとして、名指しされた人間をわざと祭り上げて、英雄視させるんです」と指摘する。

 プーチン大統領自身が元KGBのスパイから政治家に転身しているだけに諜報機関のエージェントを地下に潜らせるのではなく、表に出させる逆バリ作戦はお手の物ということか。

 もっとも容疑者とされる男2人の主張は矛盾だらけとあって、ロシア内でもまだ疑問視されている状況。すぐに英雄となるワケではないようだ。