「ケフィア事業振興会」疑惑の破産へ

2018年09月05日 07時15分

 ヨーグルトや干し柿などの加工食品のオーナーになれば高い利息を支払うといううたい文句で出資者を募っていた「株式会社ケフィア事業振興会」(東京都千代田区)と関連会社3社が3日、破産手続きに入った。負債総額は4社で1053億円。オーナーを含む債権者は約3万3000人に上る。典型的なオーナー商法で、関係者からは「計画倒産に近い」との声も。被害対策弁護団の紀藤正樹弁護士は「すでに社長親子が資産を海外に移している可能性がある」と指摘した。

「いいえ、ケフィアです」。このCMを覚えている人も多いだろう。だがこれは今回の事件とはまったく無関係の健康食品会社「やずや」の「千年ケフィア」のCMだ。

 今回破産した「ケフィア――」は、発酵乳「ケフィアヨーグルト」の種菌の販売で創業。そこから加工食品の会員制通信販売を展開した。

 社名は堅いが、ビジネスモデルは典型的な会員制オーナー商法。1口5万円程度を出資して干し柿やジュース、メープルシロップなどの商品オーナーになれば、半年後に8~10%の利息分を足して支払うと勧誘していた。

 このご時世にそんな気前の良い話があるわけがないのも事実だが、老後の年金生活に不安を感じた高齢者がこぞってケフィア事業振興会や関連会社に出資。当然、そんな高利回りのビジネスが続くはずもなく、昨年11月ごろから会員への配当や元本の支払いが遅れ、訴訟問題に発展するケースが多発していた。オーナーへの未払い金は340億円以上に上るという。

 事情を知る関係者は「同社から届いた干し柿もパンフレットに載っているようなきれいなものではなく、ドス黒くて腐っているのかと思った。自転車操業なのに新規オーナーを募集していたし、あくどいことをしていた。今回の破産も計画倒産に近いと思う」と語る。

 同社はこの日、ホームページ上で声明を発表したが、その中身も驚くべきものだった。オーナーへの支払いが遅延した理由を「システムの不具合」とした上で「トラブルの急増を受けて当社に関する記事が多数掲載されたほか、対策弁護団が結成されたため、当社の信用が著しく悪化した。(信用低下を受けて)会員の皆さまの間で契約解除や更新の停止が多発し、資金繰りが苦しくなった」と、批判的な記事を書いたマスコミに責任転嫁した。

 そんな同社の不誠実な姿勢に怒り心頭なのは、被害対策弁護団の団長を務める紀藤弁護士だ。高い利息を確約した勧誘手法は出資法違反に該当する可能性が高いが「あくまでそれは入り口。はなからビジネスモデルは破綻しており、ゆくゆくは詐欺罪で刑事告訴することになると思う」と語る。

 同社と関連会社の社長を務める鏑木秀彌氏、武弥氏の親子にも疑いの目を向ける。

「今回破産したのは会社であり、鏑木親子は自己破産していない。つまりまだ金があるということ。同社には関連会社が50ほどあり、ほとんど実体がない。今回の流れを見越して、すでに海外の口座や関連会社に資産を分散させている可能性が高いと思う」(紀藤氏)

 弁護団には8月末までに全国から約1500人から相談が寄せられ、被害総額は82億円以上だという。弁護団は出資法違反などで刑事告訴する方針だが、マスコミの取材も拒否し続け、逃げ回っているとされる鏑木親子には公の場で説明する責任があるのは言うまでもない。