治安良化セブ島は語学留学で人気も今年130人以上が殺人犠牲者に

2018年08月30日 17時00分

セブの歓楽街は銃の危険と隣り合わせ

【アツいアジアから旬ネタ直送 亜細亜スポーツ】フィリピンの人気リゾート・セブ島で24日、日本人女性が射殺された。地元紙セブ・デーリーニュースなどによると、島在住歴20年の浜田純子さん(71)は、市内の大型モール「SMシーサイドシティ・セブ」で買い物後、自家用車を運転し帰宅途中、信号待ちしていた際に男2人組に襲撃された。頭部や顔などに銃弾を浴び、即死。犯人グループは浜田さんを暗殺すべく、バイクで尾行し、機会をうかがっていたとみられ、犯行後に逃走した。

 浜田さんはセブ近郊のタリサイ市で家具などを輸出する会社を経営。地元警察は事件の背景にビジネス上のトラブルがあったとみて、犯人につながる遺留品がないか現場周辺を捜索中だ。「犯人は長髪だった」との目撃証言があり、狙撃犯は女性の可能性もあるという。

 フィリピンでは日本人殺害事件が多いが「現地の治安が悪いということではない。むしろ近年はドゥテルテ大統領の強権の下、警察の取り締まりは厳しくなり、麻薬犯罪に対し、強引な捜査を行っていることで治安は良くなってきている」とは首都マニラ在住記者。

 事件のほとんどは日本人同士のトラブルが発端で起きているという。昨年6月、日本人が2人殺され、バラバラ遺体で海に捨てられた事件でも逮捕されたのは在住日本人だった。「現地に住む日本人同士が金銭でモメるケースが多い。実行犯は地元で雇われたチンピラ。警察の捜査はおざなりで、すぐウヤムヤになってしまう」と同記者。

 警察がずさんゆえ、フィリピンが殺しの舞台になるケースも。ターゲットを日本からフィリピンへ誘い出し、マニラから離れた地方で殺害する。捜査体制の違いから、日本で殺すより逃げ切れる確率が高いといわれる。

 この10年間で50人ほどの日本人が殺されているが、使われた凶器のほとんどは銃だ。米国の植民地だった影響もあり、フィリピンはアジアで唯一といえる銃社会。ライセンスを取得すれば銃所持が許可される。ごく普通のデパートにも銃砲店があり、簡単に買えるほか、違法に流通している銃火器も多い。

 マニラに比べ治安が良いイメージのセブ島でも今年130人以上が殺人事件の犠牲になったが大半が未解決のままだ。ここ数年は日本人絡みの事件が増えているという。

「セブは今、語学留学で人気。欧米に留学するよりずっと安く済むからで、若い日本人女性も集まってきている。夜間、歓楽街で飲み歩く子も多く、地元の若者に強引に誘われたり、時には襲われるケースもあると聞く」(前同)

 治安が良化しているフィリピンだが、まだまだ注意が必要だ。(室橋裕和)

☆むろはし・ひろかず 1974年生まれ。週刊文春記者を経てタイ・バンコクに10年居住。現地日本語情報誌でデスクを務め、2014年に東京へ拠点を移したアジア専門ライター。最新著書は「おとなの青春旅行」(講談社現代新書)。