12日午後、大阪府富田林市の府警富田林署の留置場に勾留されていた容疑者の男が逃走した。

 接見室の面会者と隔てるアクリル板を押し破ったという。

 捜査関係者によると、男は強制性交などの罪で起訴され、8日に別件の強制性交未遂容疑で再逮捕された樋田淳也容疑者(30)。午後7時半から弁護士が接見していた。接見中に逃走したという情報がある。

 樋田容疑者がいなくなっているのに署員が気づいたのは、12日午後9時45分ごろ。逃げる様子を目撃したり脅されたりした署員はいなかった。

 樋田容疑者は6月、府内のマンションで20代の女性に乱暴したなどとして、強制性交や窃盗などの疑いで逮捕され、7月に起訴された。その後、別の強盗致傷罪で追起訴されていた。府警は、5月上旬に羽曳野署の駐車場の警察車両が燃えた事件に関与した可能性があるとみて捜査していた。

 逮捕経験がある男性は「警察署内にある留置場から逃げるなんて想像できません。ただ、接見室では、友人と接見の場合は容疑者の後ろに留置担当の警察官が待機してますが、弁護士との接見では警察官が接見室の外で待機しています。でも、署内だから逃亡するにしても警察官がウヨウヨいるはずです。拘置所や刑務所よりも逃亡は難しいと思いますよ」と語る。

 2014年には横浜地検川崎支部で弁護士と接見中の容疑者が逃走。大捜索の末、2日後に身柄確保に至った騒ぎが起きている。今年は4月、愛媛県今治市の松山刑務所大井造船作業場から受刑者が脱走し、約3週間の逃亡を許してしまった。

 今治の件を受けて法務省は、逃走防止に努めるよう上川陽子法相が刑務所や拘置所などの刑事施設側に訓示をしている。前出の逮捕経験者が語るように留置場が「拘置所や刑務所より難しい」のなら、そこで逃走が起こったことはより深刻だ。