警視庁原宿署は2日までに、大手総合警備会社「セコム」のロゴが印刷された自作ステッカーを販売したとして、商標法違反の疑いで京都市山科区のアルバイト服部翔太容疑者(25)を逮捕した。

 1月上旬~2月上旬、セコムが商標権を持つ「Security by SECOM」と印刷されたステッカー1枚を1200円で神奈川県の男性に販売した疑い。

「法律違反と知らなかった」と容疑を一部否認している。昨年12月にはフリマサイトに出品し、セコムからサイト運営社に通報されていた。そこで大手オークションサイトに場所を移して出品した約50枚を売りさばいていた。

 本家セコムのステッカーは契約者にのみ配布され、契約解除すると回収される。事件は皮肉なことに、セコムブランドが持つ防犯における“神通力”の強さと潜在的需要を明らかにした。家宅捜索では、別の警備会社の偽ステッカーも見つかった。逮捕されなければ、これも販売していただろう。

 注目は、ステッカーが本物ではなく「手作りのオリジナルシール」として販売されていた点だ。ブランド品の偽物を本物として販売することは明らかに罪だが、偽物を「偽物です」と正直に申告して販売することも商標権を侵害し、収益を得ても得なくても販売目的であれば罪となる。

 これから開催される東京五輪に向けても今回の事件は教訓となる。五輪の公式グッズの偽物を作る者が出てくることが警戒されている。原宿署でも「五輪の公式グッズを模した偽物も出回る可能性がある。偽物と申告しても気軽に作れば犯罪になるという認識が広まってほしい」とした。

 ちなみに、実在する警備会社のステッカーを自作し、販売はしなくても、自宅に貼ることも商標権を侵害する可能性があるというから要注意だ。