富山市の交番で警察官を刺殺後、警備員が射殺された事件で、警備員に対する殺人未遂容疑で現行犯逮捕された富山県立山町の元自衛官島津慧大容疑者(21)が、刃物を4本持っていたことが27日に分かった。26日の身柄確保時に刃物3本を手に持っていたが、リュックサックから新たに1本が見つかった。県警は自宅への家宅捜索で、複数のモデルガンも押収した。

 島津容疑者は事件当日に「アルバイト先で、上司を殴った。バイトを辞める」との趣旨の内容を無料通信アプリで家族に伝えていたことも判明。県警は、刃物を準備し計画的に襲撃したとの見方を深めている。

 交番には所長の稲泉健一警部補(46)と警察OBの相談員がいた。島津容疑者は交番の裏口のドアをノック。ドアを開けた警部補は、ナイフを両手に持った島津容疑者に全身をメッタ刺しにされ死亡した。

 交番の向かいにある美容院の店員は「相談員が驚いた様子で来て、110番するように言ってきた。『銃を持った人がいる』と言うのでドアの鍵を閉めて息を潛めた」と恐怖体験を振り返る。

 その後、島津容疑者は住宅街へ逃走し、奥田小学校の正門付近へ向かって銃を発射。同校前で交通整理をしていた警備員の中村信一さん(68)に発砲。中村さんは頭部に1発被弾した。

 陸上自衛隊金沢駐屯地(金沢市)によると、島津容疑者は2015年3月~17年3月まで勤務。第14普通科連隊に所属し、小銃を使う訓練などを受けていた。なぜこんな行為に及んだ島津容疑者が、人を制止する能力を身に付ける自衛隊へ入隊できたのか?

 警視庁元刑事で犯罪心理学者の北芝健氏によると、「入隊時に、心理学者が入隊しても大丈夫な人物か、社会的不適格者ではないかをペーパーテストで判断をします。ですが、ウソを書けば通るようなものなので、今回のようなヤツが出現するんです」。

 今月だけでも、わいせつや買春、傷害、窃盗の疑いで現職自衛官が逮捕されている。自衛隊の人物チェックにスキがあるのか。