袴田巌さんの再審認めず 司法・警察が頑なに守りたいモノ

2018年06月12日 17時00分

元プロボクサーの袴田さん

 4年前に約48年ぶりに拘置所から釈放された元プロボクサーの袴田巌さん(82)にまたもや非情通告が出された。東京高裁は11日、1966年に静岡県で一家4人が殺害された強盗殺人事件で、4年前に静岡地裁が決定した袴田さんの再審開始を認めない判決を出した。

 事件は、みそ製造会社専務宅から4人の他殺体が発見され、従業員だった袴田さんが逮捕され、取り調べに自白したとされる。その後、警察側の異常とも言える取り調べの実態や矛盾だらけの証拠品が次々と明るみに出た。

 特にみそタンクから後日、見つかったという犯行時に着ていたとされる5点の衣類が決定的証拠とされていたが、4年前に行ったDNA型鑑定では、衣類に付着した血痕は袴田さんや被害者のものではないと認定。静岡地裁は捜査機関による捏造の疑いを挙げ、再審開始を認めていたが、高裁は再び臭いものにフタをした。

 支援関係者は「衣類は袴田さんの太ももすら通らない小さなサイズで、むちゃくちゃな物証です。今回のDNA鑑定の結果も争うまでもないのにかたくなに裁判所側は認めない」と憤る。

 弁護側は最高裁に特別抗告するが、判決が出るのは数年後。最高裁で再審開始になったとしても決着がつくのはまだまだ先で、逆転無罪への道は遠のいた。「時間切れを狙っているのが明らかです。当時、捜査や裁判に携わって存命している幹部もわずかで一体、誰のメンツを守ろうとしているのか?」(同)

 高裁は死刑と拘置の執行停止だけは「年齢や健康状態などに照らすと取り消すのは相当でない」と静岡地裁の判断を支持し、袴田さんが現時点で再び拘置所に入ることはない。しかし、弁護団は「最高裁で特別抗告が棄却されたら死刑台に行きますよ。それを分かっていてリップサービス的にやっているからなお許せない」と怒りが収まることはなかった。