新潟市西区のJR越後線の線路に、小針小2年の大桃珠生(たまき)さん(7)が殺害された後に遺棄された事件は14日で発生から1週間がたった。現場では事件発生前から目撃されている「黒ずくめのサングラス男」が不審者としてマークされており、事件後にも複数の目撃情報が寄せられている。果たして犯人の目星はついているのか? 現在の捜査状況を追った。

 珠生さんは7日の午後3時半ごろ、友人と一緒に学校から下校中、線路沿いの自宅までの道を1人で歩いているところを近隣住民に目撃された後に行方不明になった。

 上り列車にひかれ、死亡しているのが見つかったのは午後10時半ごろ。死因は窒息だった。自宅のすぐそばで何者かに連れ去られ、首を絞められるなどして、殺害されたとみられる。線路上に遺棄されたのは警察が珠生さんの行方を捜している最中で、自宅からわずか170メートルしか離れていなかった。

 事件発生当初から捜査線上に浮上したのが「黒ずくめのサングラス男」だ。珠生さんが事件当日の朝、「サングラスの男に追いかけられた」と話していた。近隣住民は「事件発生の2週間ほど前、遺体遺棄現場と不審な白い車が目撃された場所の近くのL字路で、黒ずくめの男が女子中学生のリュックに密着するほど近づいてきた」と話す。

 ほかにも周辺住民は事件前から黒い服装に野球帽、サングラス、マスクをしている男の姿を目撃している。また「晴れの日でも傘を持っている黒ずくめの男」との証言もあるが、いずれも同一人物とみられている。

 事件後の9日午後6時ごろには、小学生が黒い服装の男に追いかけられたという情報もあった。現場で取材にあたる報道陣もサングラスの黒ずくめ男に遭遇しており、男は「近所の住民」とだけ話し、そそくさと立ち去ったという。既に捜査本部が「黒ずくめのサングラス男」を特定したとの情報もある。

 現地で取材中の犯罪ジャーナリスト・小川泰平氏は、警察の捜査について「全国的に注目されている事件ですから、早く犯人を逮捕したい。ですが仮に逮捕しても、犯人が容疑を否認することが考えられます。必ず起訴をするために、今は物的証拠を取っている段階でしょう」と話す。

 新潟西署捜査本部は物的証拠を取るため、約130人態勢で捜査を進めている。遺体が遺棄されていた線路の近くの柵や、ランドセルなどからは複数の指紋が検出され、容疑者の特定につながるとみて解析中だ。

「ランドセルには学校の先生などの指紋が付いている可能性がありますが、柵とランドセルの両方を触っている人はいないはず。両方から検出された指紋の中で一致するものがあれば、それは犯人の指紋ということです」(小川氏)

 捜査本部は周辺の防犯カメラを調べるとともに、現場付近を走行する車両にドライブレコーダーの映像提供を呼びかけている。

「警察は現在、遺体の遺棄現場から離れた場所には聞き込みを行っていません。何か別の有力な情報をつかんでいると思われます。捜査は進んでいるので、犯人の逮捕は長くかからないのではないでしょうか」(小川氏)

 県警では、阿賀野市の五頭連峰で遭難した親子の捜索が難航しており、初動の遅れで謝罪に追い込まれた。

 珠生さんの殺害事件での失態は許されないとあって、捜査幹部は「あらゆる可能性を考え、慎重に捜査を進める」と話している。