わさび製造の国内シェアトップを誇る「金印」(愛知県名古屋市)が、本わさびの成分に育毛を促す働きがあるとの研究データを発表し、薄毛で悩む人から熱視線を送られている。実際の効果のほどと、その実用化はどうなっているのか?

 日本で自生するわさびは食材や薬草として重用され、これまで抗菌、解毒、抗酸化作用等があると知られていた。そんなわさびに育毛効果があると同社が気付いたのは7年前のこと。「社内でわさびの効用を調べていた中で、髪の毛が増えたという人が出たのがきっかけです」(金印担当者)

 その後、本格的な研究に着手して、本わさびの葉の部分から抽出される「イソサポナリン」、本わさびの根茎から抽出される「6―MSITC」を毛乳頭細胞に加え、培養したところ細胞活性のデータが得られた。

 既に育毛に有効とされ、医薬品となっているミノキシジルよりも6―MSITCは約1・5倍、イソサポナリンは約3倍と高い数値が出ているという。

 人体での臨床試験はこれからだが、同社では今後半年から1年以内をメドに有効成分の入った化粧品や健康サプリメント等の商品化を計画しているという。

 また既に金印の技術を生かした「6―MSITC」入りのサプリメント「わさびの癒し」(神戸ウェルネスサイエンス社)が販売されている。同社には「マウスでの実験で明らかに毛並みが良くなった。また髪の毛のコシが強くなったとの声が届いている」という。

 こうなったら「毎日、わさびを食べて、増毛したい!」と思う人も出てきそうだが、気をつけたいのはわさびの種類だ。有効成分が入っているのは本わさびのみで、一般に出回っているチューブわさびや粉わさびはほとんどが西洋わさびで、効果はないという。

 また本わさびをすって、直接頭皮に塗るなどすれば刺激が強すぎるために逆に炎症を起こしかねないうえ、大量摂取も体を壊しかねないから注意が必要だ。今後、わさび効果でフサフサの人が続出すれば、育毛革命となりそうだが――。