「汗をかく→体臭発生」のメカニズム&ニオイ予防法

2012年04月16日 12時00分

 春の訪れとともに、汗をかく機会も増えてくる。となると、気になるのはニオイだ。
「体の部位によってニオイも違う。油っぽいような頭部臭、酸っぱいような体臭、スパイスのようなワキ臭、納豆のような足臭、枯れ草のような加齢臭に分類できます」
 こう話すのは、(株)マンダム中央研究所基礎研究室体臭科学グループリーダーで、臭気判定士の志水弘典氏。部位によってニオイが違うのは、発生メカニズムが異なるからだ。
「足の場合、エクリン汗腺から汗が湧き出し、角層からは脂質が出る。これらを細菌が分解・代謝するとニオイが発生します。体臭はこれに皮脂腺由来の皮脂が加わり、ワキ臭はさらにアポクリン汗腺からの汗が混じりあってニオイが発生。レシピが違うから、出来上がるものも違うのです」
 なかでも、厄介なのがワキ臭だ。同研究室が10~60歳代の日本人男性146人を対象に、ワキ臭の嗅覚測定を実施したところ、密接状態で感じる中程度の人は54%で、すれ違うだけで感じる強いワキ臭の人が33%、残り香を感じる非常に強いワキ臭の人は3%。弱い人は10%、やっと感知できる人、無臭の人はゼロだった。
 さらに、腫瘍マーカーにも使われているメタボローム解析でワキ汗に含まれる成分を調べた結果、329種類の代謝成分を検出。日本人男性に多く、ニオイの強いC型(カレースパイス臭)の特異成分20種、A型(酸臭)の特異成分4種を特定した。
「ワキ臭のニオイのもとは段階的に変化して、ニオイ成分になるが、ニオイ発生までの代謝経路を解明することに意義がある。細菌を殺菌するだけでなく、ニオイのもとに働きかける新たなデオドラント技術の開発へと変わってきています」
 ニオわない無臭ニンニクの商品化は、この代謝経路の途上をターゲットとしたことで実現した。その原理をワキ臭にも当てはめたというわけだ。
 ところで、ニオイのもとの汗にも違いがある。東京女子医科大学病院副院長で、同大学皮膚科学教室主任教授の川島眞医師は、こう説明する。
「汗にはエクリン汗腺から出るもの、アポクリン汗腺から出るものと2種類がある。エクリン汗腺から出る汗は汗孔から直接出るのに対し、アポクリン汗腺からのは腺細胞の一部がちぎれて毛孔から分泌されます」
 ほぼ全身に分布するエクリン汗腺には重要な役割がある。発汗によって、皮膚や血液の温度を下げ体温上昇の予防や、皮膚に適度な水分を与えるほか、汗は弱酸性・抗菌物質なので、外部からの雑菌侵入を防ぐ。
 一方、腋窩、乳輪、陰部などに分布し、その汗は腺細胞の一部がちぎれて分泌されるアポクリン汗腺は、性機能との関連が示唆されるが、役割は不明だという。しかも、タンパク質、脂質、鉄などが含まれており、ニオイやすい。
汗の〝罪〟には、体臭のもとになる、多汗症、ベタツキなどの不快感などがあるが、治療の対象になるのは、腋臭症(わきが)と多汗症。腋臭症の不快感は主観判断だが、気になるようなら治療をすべきという。
「重度の腋臭症の場合、アポクリン汗腺除去などの外科的治療や抗菌剤入り外用剤を処方します」
 汗の量が異常に高進する多汗症は、自律神経の交感神経を切断するなどの外科的治療を行う。ただ、腋臭症や多汗症以外は日常のケアで十分だ。
「制汗・デオドラント剤を活用し、収束成分による発汗の抑制と殺菌成分で皮膚常在菌を抑制してください。汗拭きシートも有用で、汗や皮脂、菌などニオイの原因となる物質を除去し、防臭効果が期待できます」
 制汗・デオドラント剤と清拭シートの使用という2段構えの対策がベストといえる。