「セシウム花粉」防御法を専門家が伝授

2012年04月11日 16時47分

 東日本大震災から1年が過ぎた。福島第1原発事故で放出された大量の放射性物質は、いまだ各地で多くの国民を不安の渦に巻き込んでいる。中でも放射性セシウムを含んだ〝セシウム花粉〟が新たな放射能汚染を引き起こすのではないかという心配が広がっている。果たしてセシウム花粉のリスクはどの程度なのか。室内環境の専門家を直撃した。

「セシウム花粉の問題はまず、放射性セシウムが空中を飛んでいる花粉にぶつかって付着した場合があります。しかし、そのリスクはかなり低いと考えられます」
こう指摘するのは、室内外の空気環境に詳しい日本大学理工学部の池田耕一教授(工学博士)だ。


 事故からすでに1年がたっていること、花粉に付着するには相当量のセシウムが必要であることなどがその理由だ。とはいえ、セシウムが花粉に取り込まれた場合の影響は未知数だという。
「飛散したセシウムが雨などで洗い流されたり、除染で流されたものが集まって(写真)ホットスポットになります。そこに生えている木の花粉にセシウムが取り込まれていないという可能性は否定できません」
花粉が空間に漂ってセシウムを取り込む危険は減っても、土壌に降り積もったセシウムの脅威は依然存在したまま。植物に想定外の影響を及ぼさないとはいい切れないというわけだ。


「とはいえ、広大なスギ林一帯がホットスポットになるわけではないので、過剰に心配する必要はないでしょう。たまたま1本のスギが汚染されたとしても、そこから出る花粉が特定の人の健康に被害を及ぼすほどの量になるとは考えにくい」


 花粉症に関係する花粉にはスギ由来以外にも多くの種類がある。春にはヒノキやハンノキ、イネ、秋はブタクサ、ヨモギなど。花粉症患者の不安はまだ続くのだが、基本的なセシウム花粉防御法は花粉症対策と同じで大丈夫だというのが、池田教授の結論だ。


「実は花粉は数十ミクロンという大きな粒子です。山林から都市へは強い風に運ばれますが、室内では秒単位で床に落ちてしまうほどです。部屋の空気は本来、換気することが一番いいのですが、外が汚染されている場合は逆効果です。その意味でも、花粉を捕らえる空気清浄機は非常に有効な方法です」


セシウム粒子は花粉よりやや小さい程度だから、花粉に付着している限りは通常の対策で十分だとか。ただし、有効な空気清浄機は「フィルター捕獲型」のタイプだとクギを刺す。


「例えば粒子の大きさが1ミクロン以下という小さなものになると、HEPA(ヘパ)フィルターやULPA(ウルパ)といったクリーンルームに使うようなものが必要ですが、花粉ほどの大きさであれば中程度の性能を持ったフィルターで十分な効果があります。しかし、流行しているイオン分解といった技術を用いたものは、その安全性や効果のメカニズムが十分に確立されておらず、過信は禁物です」
住んでいる地域、空気清浄機に期待することなどを吟味した上で、機種を選ぶことが重要だ。

【マスクも有効】
花粉防御という点で考えると、マスク着用はセシウム花粉にも効果的といえる。また、空気清浄機のフィルター交換を定期的に行うことも大切だ。交換時期はメーカーが定めている期間をしっかり守ること。管理が不十分では、フィルターそのものが二次的な汚染源にもなりかねない。
そのほか、室内ではダニの繁殖源となる観葉植物や化学物質にも要注意だ。環境技術の専門家らによる「室内空気向上委員会」(http://air−info.jp/)がさまざまなリスクについて情報発信をしているから、チェックしよう。