【医師のお部屋】立ったり歩いたりすると足がしびれる腰部脊柱管狭窄症の治療法 古賀昭義先生が解説

2021年11月21日 10時00分

しびれに注意
しびれに注意

 

 加齢や姿勢の悪さで起こる腰部脊柱管狭窄症。「立ったり歩いたりすると足がしびれる」「前かがみになると腰痛が楽になる」という方は注意が必要だ。治療法などを整形外科専門医の古賀昭義医師に教えてもらおう。

 ――難しい名前ですが、よく耳にします。主な症状は

 古賀医師(以下古賀)冒頭で紹介があったように、立ったり歩いた時の足のしびれの他に腰痛があります。また、「腰部脊柱管狭窄症」を患っている方には、歩いているときに痛くて立ち止まる「間欠性跛行」の症状を持つ方も非常に多いです。これは前かがみになると脊髄の圧迫が取れるため楽になります。「慢性閉塞性動脈硬化症」を患っている方でも間欠性跛行が起こりますが、この場合は前かがみになっても楽にはなりません。痛みは片方の下肢(股関節、ヒザ関節、足関節、足指)に出ることが多いです。

 ――治療法

 古賀 手術ではない治療法としてリハビリやコルセット、神経ブロックや脊髄の神経の血行を良くする薬などがあります。一般的な消炎鎮痛剤やPGE1製剤(血行を良くすることで血行が悪い状態で起こる手足の冷たさやしびれ、痛みなどを改善する薬)の内服で改善しなければ、脊椎脊髄病医の受診をおすすめします。内服がどこまで効果的で改善率がどのくらいあるかなどのアドバイスが受けられます。

 ――腰部脊柱管狭窄症の仕組み

 古賀 加齢による背骨の変形や椎間板の変性、黄色靱帯(脊髄の後ろにある椎弓と呼ばれる部分を上下につないでいる靱帯)の肥厚が原因で神経の通る脊柱管が狭くなる(狭窄)ことで、神経が圧迫を受けて血流が低下します。圧迫部位により、a神経根型、b馬尾型、c混合型に分けられるので、それぞれのタイプに応じた治療が必要になります。

 ――検査方法

 古賀 神経は太い幹からなる脊髄神経(馬尾神経)とその枝である神経根に分けられます。どちらがどのように狭窄されているか、どの程度圧迫されているかは神経自体を画像で見ることができるMRIや、細い針を用いて神経組織を包む硬膜の中に造影剤を注入する脊髄造影検査が必要です。特に神経根型はキンキングといって蛇行するように様々な部位で圧迫を受けていることがあり、神経根自体に造影剤を入れて初めて診断がつくこともあります。ただし、脊髄造影検査は針を脊髄を覆う硬膜の中に入れるため、細菌による感染症を引き起こすリスクがあります。腰部脊柱管狭窄症の手術を受ける人以外はMRIの検査が一般的です。

 ――年を取ると腰が曲がってしまうのは、この病気なども関係しているのでしょうか

 古賀 前かがみになると楽になるからといって腰痛を放置している高齢者の方は多いです。本当は病院に行って手術をするなどの治療が必要な方でも、そのままにしている人もいます。しかし、悪化すれば痛みは増す一方で、痛みで歩くこともできなくなります。結果的に正座の姿勢が楽になり、ヒザの下にタオルを敷いて家の中で正座のまま移動している高齢者の方も実際にいます。

 ――そうなんですか

 古賀 手術が嫌だからといって放置するのは決していいことではありません。特に、腰痛に加え、歩いたり立ったりしたときに足がしびれたり痛くなった場合は、ただならぬ腰痛だと考えてください。尿が出なくなることもありますので、病院に行くことが大事です。

 ☆こが・あきよし 整形外科専門医、医学博士、前日本大学医学部整形外科診療准教授、往診専門整形外科医。

【関連記事】

関連タグ:
 

ピックアップ