【泌尿器科医・高橋亮 シモの話】今回は勃起の悩みについてお話ししたいと思います。「勃起不全」というとストレート過ぎるせいか、最近では英語の頭文字をとってEDと言われることが多くなりました。バイアグラを始めとする治療薬が安全に使われるようになったことと、最近は新しい薬が登場していないことから、特別な最新の話題というのはあまりないのですが、引き続き多くの男性を悩ませていることは確実です。
では、どのぐらいの割合の男性がEDなのでしょうか? 若いころは勃起の心配なんて全然なかったのに近ごろは…という方も多いと思いますが、まさにその通りであり、年齢に比例してEDの割合は明らかに高くなります。40代では5人に1人で、これが50代になると約2倍に増加。50代というと社会の第一線でバリバリ活躍している印象ですが、その2・5人に1人は実は勃起がうまくいかない状態であるということとなります。
一口にEDと言っても、その原因は様々で、厳密には15種類以上に分類されます。ただ、泌尿器科医ですらこの分類を全て理解している先生はほとんどいません。それは、原因が複数の要素にまたがることが多いことと、バイアグラ等、治療薬の登場によって、どのパターンのEDにもある程度効果が期待できるようになったため、原因を突き詰めることにあまり意味をなさなくなってきたからです。
ただ、薬に頼りきらずに自然にEDを克服したいという方のための専門外来は現在でも存在し、そこでは詳しく検査が行われます。珍しいものでは朝立ちがどのぐらい起こるのかを測定する機械や陰茎の血流を測定する装置などがあります。
私のクリニックでは治療薬の処方やホルモン検査はするものの、ここまでの専門的な検査は行っておりません。一般の方が自力でネットなどでED専門外来を検索することはなかなか難しいので(積極的に宣伝していないのと紹介でなければ受診できないところが多い)、専門的な検査を希望の際には、どこかの泌尿器科をまずは受診していただく必要がありそうです。
☆たかはし・りょう 神奈川県出身。2003年日本医科大学卒業。日本泌尿器科学会指導医・専門医。日本医科大学付属病院嘱託医。ED、早漏、AGAなどをはじめ、前立腺がんなど泌尿器科にまつわる疾患全般を扱う動坂下泌尿器科クリニック(東京・文京区)院長。