【泌尿器科医・高橋亮 シモの話】今回はタマの痛みについてお話ししたいと思います。タマ(睾丸)は、陰嚢と呼ばれる玉袋に収納されているので、タマの周りの痛みも含めて陰嚢痛と呼ばれることもあります。

 タマが痛くなる病気でネット検索をすると、たいてい出てくる病気は精巣捻転症と精巣上体炎の2つだと思います。これはどちらも比較的重度の病気になりますが、特に治療の緊急性が高いのは前者になります。

 精巣捻転症は、タマが袋の中でねじれてしまう病気で、突然の激しい痛みを伴うのが特徴。普段は意識しないでしょうが、実はタマは袋の中で適当に転がっているのではなく、精索と呼ばれる太いヒモのようなもので体からぶら下がっているのです。

 普段はタマは袋の中で周りとくっついていて動かないようになっているので、体からぶら下がっていることを意識することはないと思いますが、幼少期や青少年のうちはこの周囲との接着が甘い場合があります。そうすると何かの拍子にタマが回転してしまい、このヒモである精索がねじれてしまうのです。これが精巣捻転症になります。

 そして、このヒモは単なるヒモではなくて、その中にタマとつながる唯一の血管が走っているため、一緒にこの血管もねじれてしまい、タマが酸欠状態に陥ってしまいます。酸欠は一大事になりますので、早期にこれを解除する必要があり、ねじれを治す手術を6~12時間ぐらいの間に行う必要があるとされています。

 青少年に起こりやすく、成人では比較的まれですが、絶対に起こらないわけではありません。緊急性が高いので、ネットで睾丸の痛みを検索するとまず初めにこの精巣捻転症が出てくるわけですね。

 とはいえ、頻度は高くありません。では、その他の頻度の高いタマの痛みはいったい何によるものなのでしょうか? それは次回以降ご説明しますが、ちょっと難しい問題なので、上手にお伝えできるか、今からちょっぴり気が重いです(苦笑)。

 ☆たかはし・りょう 神奈川県出身。2003年日本医科大学卒業。日本泌尿器科学会指導医・専門医。日本医科大学付属病院嘱託医。ED、早漏、AGAなどをはじめ、前立腺がんなど泌尿器科にまつわる疾患全般を扱う動坂下泌尿器科クリニック(東京・文京区)院長。