生きづらさは遺伝子のせい ネガティブな思考はこう消せ! 

2021年10月10日 10時00分

悩みが襲ってきたときの対処法は・・・
悩みが襲ってきたときの対処法は・・・

 ポジティブに生きた方がいいってことは分かってる。でも、どうしてもネガティブになってしまうし、「どうして俺はこうなんだ」と、さらにネガティブになってしまうこともある。モヤモヤが晴れず、体調もすぐれない…。そんな負のサイクルに陥っている皆さん、ちょっぴり考え方を変えてみませんか? ヒットしている「無(最高の状態)」(クロスメディア・パブリッシング)の著者でサイエンスライターの鈴木祐氏に生きづらさの正体を明かしてもらいましょう。

 ――いろいろなことを心配して、不安になって…を繰り返す私たち。どうしてこんなにネガティブになってしまうのでしょうか

「心配事の97%は起こらないという研究結果も出ているのに、不思議ですよね。でも、実は人間というのは生まれつきネガティブなんですよ」

 ――どういうことでしょうか

「先史時代、我々の祖先がサバンナで生活していたころは、毎日が危険ばかりでした。動物に襲われますし、落石も災害もある。伝染病にかかったら助かる術もない。そんな脅威に満ちた環境を生き抜くには、できるだけ臆病にならざるを得ません。茂みがピクッとしたときに『ライオンが出てくるんじゃないか』と準備して、逃げられる人じゃないと生き残りづらかったんです」

 ――常に心配している人ですね

「はい。逆に、何も準備しないで突っ込んでいく人は死んでしまう。その繰り返しによって、ビクビクする人の方の遺伝子が残りやすくなりました。現代人もその遺伝子を受け継いでいるので、ネガティブな思考になってしまうんです」

 ――だから次から次へと不安がわき起こってくるんですね

「ただ、それは昔からある仕組みではあるのですが、現代社会では、よりその不安が大きくなってしまいます。苦しい状況に陥ったとはいえ、昔だったら、今日は今日、明日は明日と割り切れました。まずは生きるために目の前の獲物を取って食べる。明日のことは明日になってから考えればよかったんですが、今はそうはいかないですよね」

 ――長寿が当たり前で、人間関係も複雑ですし、様々な情報も入ってきます

「『こうなったのは本当は私が悪いんじゃないか』と悩んだり、将来について『老後は〇千万円ないとまずい』と考えざるを得ないのが現代です。最初の苦しみや悩みが『一の矢』だとしたら、その後に別の悩み、いわゆる『二の矢』を打ってしまうから人間は苦しくなるのですが、その二の矢を打ちやすい時代になっているんです」

 ――ネガティブになること、それによりさらに不安感が増すことさえも人間としての初期設定だと

「そうです。それこそが生きづらさの正体です。悪いのは自分ではありません」

 ――では、二の矢、すなわち不安が次々に襲ってくるのは仕方がないとして、我々はどう対処すればいいのでしょう

「二の矢は現実への抵抗なのですから、降伏するのが一番の方法ですね」

 ――最新著書のタイトルにある「無」になって、不安をスルーということですか…それって難しくないですか

「皆さんそうおっしゃいますが、実は昨今は、嫌な経験や感情を一時的に切り離す方法について、様々な研究結果が出ています」

 ――例えば

「心理療法の世界で使われるのは、例えば上司にめちゃくちゃ嫌なことを言われたとき、その上司のセリフをハッピーバースデーの曲にのせて心の中で歌ってみること。上司のセリフが嫌なものに聞こえなくなります。それこそコメディー映画のワンシーンみたいになるんです」

 ――そんな方法があるんですか

「探して、知っておくだけで全然違います。ネガティブになることは仕方がないというメカニズムを理解した上で、確立されている方法で二の矢をなるべく打たないようにする…シンプルでしょう?」

 ――はい、そう聞くとできる気がしますし、モヤモヤも晴れてきました。鈴木さんは3年前にベストセラーになった「最高の体調」という本から、人類の進化論とひもづける健康法を紹介されていますが、これほど反響があると思っていましたか

「確かに面白いとは感じていましたし、『健康のことをちゃんと考えるなら押さえておいた方が楽だろうな』ぐらいの意識だったんですけど、想像以上に反響があったことから考えると、皆さんがあまり考えてこなかった部分だったんだな、と。そして皆さん、相当モヤモヤしていたんだと思います」

 ――不安の理由が分かりませんでしたからね。ちなみに鈴木さんも実際にそうやって対処してきたんですか

「昔は不安症というか、何事に対してもドキドキしてしまう、ゴリゴリの人見知りでした。忘年会行ったら寝込むぐらいの(苦笑)。でも、仕組みを理解して、自分に合った対処法を探せたことで、乗り越えられました。私ができたのですから、誰でも変わることができると思います」

 ――オジサンになっても変われますか

「人間の脳ってすごく柔軟性があるので大丈夫です。実際、高齢になっても変えられるというデータも出ていますよ」

【ネガティブな感情を消す手軽な方法】

 ①自己解説法=自分の名前、年齢、今いる場所、今していること、次に何をするつもりかを口に出して説明する。淡々と実況することで、意識が過去や未来(不安)から現在に向き、気持ちが楽になる。

 ②54321法=急な不安に襲われたり、気持ちがふさいでしまったら、周りを見回して普段は気付かないものを5つ見る。次に触覚で感じられるもの4つに意識を向け、今度は普段気付かないもので耳で聞くことができるものを3つピックアップ。さらに鼻で嗅げるものを2つ意識的に味わい、最後に味わえるものを1つ味わう。

 ☆すずき・ゆう サイエンスライター。慶応大学SFC卒業後、出版社勤務を経て独立。10万本の科学論文の読破と600人を超える海外の学者や専門医へのインタビューを重ねながら、現在はヘルスケアや生産性向上をテーマにした書籍や雑誌の執筆を手掛ける。ブログ「パレオな男」は月間250万PVを達成。著書に大ヒットした「最高の体調」や「科学的な適職」など。

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