【シモの話】梅毒の検査 難しい「陰性」のときの取り扱い

2021年09月19日 10時00分

【泌尿器科医・高橋亮 シモの話】梅毒の感染拡大に伴い「パートナーが梅毒に感染していたことが分かったので、私も検査してほしい」ということで診療所を訪れる患者さんが以前よりも増えてまいりました。

 梅毒の検査は血液検査をすればいいので、健診などと同様に腕から採血をして終わりです。健康保険を使って検査をすることができます。また、保健所で行えば無料でやってくれます(自治体による)。そして血液検査で梅毒の抗体が陽性であれば感染しているということになるので、抗生物質を飲んでいただく、という流れになります。ここまではあまり難しくありません。

 ところが、この検査が陰性であったときの取り扱いが非常に難しいのです。陰性だからといって「感染してません!」とは言えないのです。どういうことかと言いますと、梅毒の検査は菌そのものを調べているのではなく、菌の感染に伴って体が反応して作られた抗体があるかどうかを調べています。つまり感染が起こっても体がいつまでたっても反応せずにこの抗体が作られなければ、検査では陰性となってしまうのです。

 一応、教科書的には、感染の機会があってから1か月間は抗体ができないことが多いので、検査では検出されないことがあるとされ、3か月ぐらいたつとほとんどの場合で抗体が検出されるので、この時点で陰性であれば梅毒には感染していないという判断になります。ただ、抗体ができるまでの時間については当然ながら個人差が大きいので、感染から3か月の時点で抗体ができていない可能性もゼロではありません。私は念のため6か月後、1年後にも検査で陰性を確認しましょうと説明しております。

 なぜ抗体なんていう面倒くさいものを調べるのか、病原菌を直接調べればいいじゃないか、と思われる方もいるかと思います。ご指摘はごもっともなのですが、実は現在に至っても梅毒の菌を直接検出する確実な方法が存在しません。大昔からある感染症にもかかわらず、いまだに菌を直接検出できないだなんて、不思議な話ですよね。

 ☆たかはし・りょう 神奈川県出身。2003年日本医科大学卒業。日本泌尿器科学会指導医・専門医。日本医科大学付属病院嘱託医。ED、早漏、AGAなどをはじめ、前立腺がんなど泌尿器科にまつわる疾患全般を扱う動坂下泌尿器科クリニック(東京・文京区)院長。

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