【志賀貢 男の羅針盤】

【手のひらでわかる健康診断】最近、体が疲れる、酒が弱くなった、という時には、自分の手のひらをじっと見つめてみてください。体の中で起こっている変化が読み取れるはずです。

 手のひらの親指の付け根と、小指の付け根は、一番肉付きのよいところ。この部分をそれぞれ母指球、小指球と呼びます。ここに、球のようにしっかりと肉が付いているのが「健康な手」ということになります。大病を患うと、この部分の肉付きも落ちてくるものです。

【赤い手のひらは肝臓の赤信号】指の付け根が、やけに赤くなっている状態を手掌紅斑と呼びます。この赤みは、指で押すと消えますが、指を離すとすぐ元に戻ります。

 母指と小指の付け根が際立って赤い時は、肝臓が弱っているか、あるいは酒の飲み過ぎで肝臓が悲鳴をあげているか、いずれかの証拠です。手当てをせずに放っておくと、五本の指の付け根、さらに指先まで赤くなることがあります。

 原因は、肝臓の働きが落ちて、ホルモンの代謝に異常が起こり、その結果、毛細血管の吻合(ふんごう)が起こり、動脈血が静脈に流れ込むと考えられています。

 こうした場合は一度、肝機能を調べておいたほうがよいでしょう。とにかく、手のひらが赤くなったら生活習慣を見直してほしいものです。

【「手のひらが温かい人は心が冷たい」は俗説】巷では、そのような手相占いがささやかれているようですが、それは俗説です。とくに女性で手が温かい人は、血流循環の良さを示す証拠ですから、体も心も冷たいはずはありません。将来のパートナーを決める場合は、手の温かい人を選びましょう。

 ただし、男性を選ぶ場合には、赤くて熱い手は避けたほうがよさそうです。なぜなら、一緒に暮らしても暴飲暴食で苦労させられそうだからです。

 また、「酒豪と呼ばれる人に、性の達人は存在しない」というのが医学的常識です。中毒するほど酒を飲むと、精力も精子もダメージを受けると肝に銘じて、肝臓を労りましょう。

 ☆しが・みつぐ 北海道生まれ。医学博士。昭和大学医学部大学院博士課程を卒業。臨床医として診療を行うこと50年超、現在も現役医師として日々患者さんに接している。文筆活動においてもベストセラー多数。性科学の第一人者にして、近年は高齢者の臨終や性に関しても健筆をふるう。美空ひばり「美幌峠」「恋港」などの作詞も手掛けた。