インフルエンザ対策に緑茶カテキン

2014年11月27日 16時00分

緑茶でのうがいは既にインフルエンザ予防として定着し始めている

 これからの季節、特に気を付けたいのがインフルエンザだ。今回はその対策として日本の国民的な飲料である「緑茶」を取り上げたい。これまでも緑茶カテキンの様々な健康効果を取り上げてきたが、改めてその実力に迫ってみた。

 緑茶について、「健康によい」というイメージを持っている人はとても多いだろう。緑茶の健康効果について、伊藤園中央研究所の提坂裕子所長は「緑茶の渋みの主成分である緑茶カテキンには、『抗菌・抗ウイルス作用』『抗酸化作用』『抗インフルエンザウイルス作用』など様々な生理活性があります」と解説。

「近年では『緑茶カテキン』を分離することが可能になり、その研究が進むにつれて緑茶の持つ健康効果が新たに注目されています。さまざまな研究機関で生活習慣病、がん、認知症、インフルエンザウイルスに対する緑茶カテキンの効果が研究、報告されています」と続けた。

提坂裕子所長

 これからの時期に気を付けたいインフルエンザの予防に、緑茶カテキンが効果的であるということを示唆する研究結果も上がっている。同研究所と静岡県立大学薬学部の山田浩教授、社会福祉法人白十字会・白十字ホームの田熊規方医学博士が成人200人を対象に行った共同研究では、「緑茶に含まれるカテキンとテアニンが、インフルエンザの発症を減少させる」ことが明らかになっている。

 また小学生児童2663人を対象にした世界初の疫学調査では「インフルエンザの発症について、緑茶を週に6日以上飲む児童は週に3日未満の児童と比べて40%以上も減少。また飲用習慣が1日1杯(200ミリリットル)未満の児童に比べて、1日1~2杯の児童では38%、1日3~5杯の児童では46%も減少」。

 このことは「緑茶を1~5杯、週6日以上飲むことが、小学校児童のインフルエンザ予防に役立つ可能性」を示している。

 インフルエンザと緑茶といえば、緑茶でのうがいが効果的であるということが研究で報告されていて、緑茶でのうがいを実施している小学校も全国各地に存在する。

山田浩教授

 前述の2つの研究に携わった山田教授は「緑茶は熱くても冷たくても主要成分であるカテキンの作用は変わりません。緑茶カテキンはインフルエンザウイルスのタイプにかかわらず予防効果を発揮することが期待されます。また、日ごろからよくお茶を飲むといわれている静岡県民の健康寿命は女性が全国1位、男性が全国2位で、よく歩き、肥満者の割合が低いという特徴もあります」と付け加えた。

 さらに緑茶カテキンを効率よく摂取する方法の一つが、日本ならではの食文化「緑茶とご飯の組み合わせ」であることが分かってきている。

 独立行政法人農研機構 野菜茶業研究所の物部真奈美主任研究員(博士)は、「緑茶だけを飲むより、緑茶とご飯を一緒に食べた方が血液中のカテキン濃度が上昇する傾向をヒトを対象にした研究で確認しています。緑茶カテキンがお米のたんぱく質や多糖類などに結合して、吸収されやすいカテキンの形に腸で変化したことが理由と考えられます」と説明。

 その上で「日本ならではの食文化である食事中にご飯と緑茶を取ることで効果が期待できます」とつけ加えた。

 やはり同主任研究員が勧めるのは日常的な飲用だ。

「緑茶カテキンは体内に吸収された後、長くとどまりません。食事や気付いた際にこまめに継続して緑茶を飲むことで、血液中のカテキン濃度をより高い状態に維持できる可能性があります」と語った。

 緑茶は無糖でノンカロリーなので、毎日続けるのにピッタリ。飲料、リーフ、ティーバッグ、インスタント製品と様々な飲用スタイルに適しているのもうれしい限り。インフルエンザ対策は緑茶カテキンで決まり!!

☆やまだ・ひろし=医学博士、静岡県立大学薬学部教授、静岡県立総合病院神経内科医師。自治医科大学医学部大学院博士課程修了。同大学神経内科学講座助手、スウェーデン・カロリンスカ研究所に2年間留学。聖隷浜松病院総合診療内科医長、浜松医科大学附属病院治験管理センター助教授を経て現職。

☆さげさか・ゆうこ=株式会社伊藤園中央研究所長。東京大学大学院薬学系研究科修士課程修了。環境庁(現環境省)国立公害研究所(現独立行政法人国立環境研究所)を経て現職。薬学博士。