【石原結實 病気を吹き飛ばす食図鑑】中央アメリカ原産のウリ科の植物。日本へは16世紀中頃、ポルトガル船が豊後(大分)に漂着した時、カンボジアのものを持ち込んだ。よって「カボチャ」と命名された由。

 黄色の果肉に含まれているビタミンA(カロチン)は血管壁や皮膚・粘膜を強化し、皮膚の美容、動脈硬化や眼精疲労、風邪や肺炎などの感染症の予防・改善に効果的である。

 また、カボチャのビタミンE含有量は野菜の中ではトップクラスで、このEとカロチンはガンをはじめとする万病の一因とされる活性酸素を除去する作用が強力だ。

 因みに「わた」の部分は、カロチン含有量が果肉の約5倍もある。煮物やスープなどに入れて大いに用いられるとよい。

 その他、ビタミンB1(疲労回復)、B2(解毒、肝機能強化)、ビタミンC(血管強化、免疫力増強)などのビタミンが存分に含まれる。

 食物繊維の含有量も多いので、整腸作用、便秘改善にも役立つ。

 昔の人は、夏野菜のカボチャを冬至(12月22日頃)が過ぎるまで保存して食べることで冬に不足しがちなビタミン類を補っていた。

「冬至カボチャを食べると中風にかからぬ」(中風は脳出血や脳梗塞など)という諺は、経験から出たものだろう。

 種子は、漢方では「南瓜仁(なんかにん)」と言われ、回虫やギョウ虫の駆虫薬として古くから使われてきた。

 ◆石原結實(いしはら・ゆうみ)1948年、長崎市生まれ。医学博士。イシハラクリニック院長として漢方薬と自然療法によるユニークな治療法を実践するかたわら、静岡・伊豆でニンジンジュース断食施設の運営を行う。著書は300冊超でベストセラー多数。最新作は「『コロナ』は恐くない!恐いのはあなたの『血の汚れ』だ!」(青萠堂)。