フッ素入り歯磨き剤を! 神奈川歯科大・山本龍生教授に聞く虫歯予防で大事なこと

2021年04月18日 10時00分

横にゴシゴシはだめ!

 寿命や認知症予防に「奥歯」が果たす力が大きいことが分かってきた。今回は、大事な奥歯を残すための具体的な口腔ケア方法を「ボケたくなければ『奥歯』は抜くな」(青春出版社刊)の著者で神奈川歯科大学大学院歯学研究科の山本龍生教授に聞いた。

 ――歯周病にならないために、改めて正しい歯の磨き方を確認させてください

 山本龍生教授(以下山本)歯磨きというと、いまだに横にゴシゴシこすればOKと考えている方が多いように思います。ただ、そのやり方では歯周病の予防にはなりません。というのも歯周病の予防には「歯間を磨く」のが大事なのに、この歯磨き方法では歯間に届かないのです。そこでお勧めしたいのが、「つまようじ法」といわれる歯磨きの方法です。

 ――どのようなものになるのでしょうか

 山本 2列くらいのまばらな植毛の歯ブラシ(ネット等で購入可能=イラスト参照)を用いて、届きにくい歯間を磨く方法となります。具体的には歯ブラシを歯と歯茎の境目に当てて上下に動かすイメージです。こうすることで歯間の歯垢を取り除くとともに歯茎のマッサージにもなることで炎症を抑える効果もあります。最近ではユーチューブの動画などでもやり方を見られますので、ぜひ参考になさってください。

 ――虫歯の予防で大事なことは

 山本 まず最も効果的な虫歯予防法はフッ素を使うことです。フッ素には歯から溶け出したカルシウムやリンを元の歯に戻す、再石灰化作用といわれるものがあります。成人では1450PPMの高濃度フッ素入り歯磨き剤を勧めます。だいたいは市販の歯磨き剤の裏面にも記載があるので確認していただければと思います。フッ素の入っていない歯磨き剤や歯ブラシだけでゴシゴシこする歯磨きだけでは、虫歯は予防できません。

 ――歯磨きをするタイミングはいつがいいでしょうか

 山本 タイミングにはこだわらず、以下のポイントを踏まえてご自身の生活リズムに合わせるのがよいと思います。歯周病予防のためには1日1回、5~10分くらい時間をかけて歯間をしっかりと磨きます。虫歯予防には1日に2回はフッ素入り歯磨き剤を使います。例えば、1度フッ素を塗ると8時間程度の予防効果があるため、起床後に歯磨きをすれば、その後は就寝前に行うぐらいで大丈夫です。また、フッ素入り洗口液を使用してのうがいを夜寝る前に1分間行うこともお勧めします。

 ――注意すべき食事法もあれば

 山本 サラリーマンの方などは、ランチにカレーやラーメンといったかまなくても食べられる食事を好む傾向があるように思えます。これはできれば避けていただきたい。というのは、歯の中でも重要な役割を持つ奥歯には、食物をかみくだき、すりつぶす役割があります。こういった食べ方を続けると、顎の筋肉が衰えるとともに、かまないで食べることで満腹感も得られないままにどんどん食べてしまう。血糖値も上がりやすく糖尿病にもなりやすくなる等、複合的に悪い状況が重なります。

 ――他に歯周病や虫歯の予防につながる生活習慣がありますか

 山本 唾液(だえき)についても意識を向けてください。唾液には口の中の細菌の増殖を抑えたり、洗い流したりする作用があります。まさに歯周病や虫歯予防の陰の主役とも言えます。そのためにはしっかりよくかむことで唾液をたくさん出すことも重要。このコロナ禍において人と接したり話す機会が減って唾液が減った方や、降圧剤などの副作用で唾液が出にくくなるケースもあり、注意が必要です。高齢者の中には水分の摂取不足のために唾液が少ない人もいます。お茶なども含めて、しっかり水分を取るようにしましょう。

 ☆やまもと・たつお 神奈川歯科大学大学院歯学研究科教授。歯学博士。岡山大学歯学部卒業後、米国テキサス大学客員研究員、世界保健機関(WHO)インターンなどを経て、現職。歯・口の健康と認知症やうつなど全身の健康との関連を研究、調査する予防歯科学の第一人者。

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