【石原結實 病気を吹き飛ばす食図鑑】地中海沿岸地方原産のアブラナ科の植物。日本には江戸時代にオランダより観賞用として持ち込まれた為、「葉(は)牡(ぼ)丹(たん)」と呼ばれていた。

 淡色野菜の中で最もビタミンやミネラルを豊富に含んでおり、外側の緑の葉には、ビタミンA(視力回復、抗酸化、免疫力増強)、芯の部分にはビタミンC(風邪やケガの改善・抑止、美肌、疲労回復)が特に多く含まれている。

 特筆すべきビタミンとして「U」(潰瘍=ulcer<英>の“u”)を含み、傷ついた胃腸粘膜を修復するので、止血作用のあるビタミン「K」と共に、胃・十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎に奏効する。ビタミン「U」は、肝庇護作用も有する。

 西洋医学の祖といわれる古代ギリシャの医者ヒポクラテスは「キャベツは腹痛と下痢の特効薬」と言い、その後、ヨーロッパでは「(キャベツは)貧乏人の医者」と言われたほど、薬効あらたかな野菜である。

 たくさん食べるとイオウの臭いのするおならが出ることがあるが、キャベツにはミネラルのイオウが多量に含まれているためで、そのイオウを含む「スルフォラファン」という成分が、ガン細胞の増殖を抑えることも明らかにされている。

 ヨーロッパの自然療法医たちが、ガン患者に人参2本(約400グラム)、リンゴ1個(300グラム)、キャベツ100グラムを刻んでジューサーにかけて作る生ジュース(約500cc=コップ3杯弱)を奨めるのも合点がいく。

 ジュースにすると体が冷える人は「キャベツの千切り」+「かつお節」+「醤油」や、キャベツの浅漬けを食べられるとよい。

 ◆石原結實(いしはら・ゆうみ)1948年、長崎市生まれ。医学博士。イシハラクリニック院長として漢方薬と自然療法によるユニークな治療法を実践するかたわら、静岡・伊豆でニンジンジュース断食施設の運営を行う。著書は300冊超でベストセラー多数。最新作は「水分の摂りすぎが病気をつくる 日本人が知らない『水毒』の恐怖!」(ビジネス社)。