犬と語り合えると自称するのは精神的に大丈夫?

2014年08月07日 08時00分

【イケメンドクター・吉田眞の医学情報のウソ!ホント?】

 医師でタレントでもある西川史子さん(43)がテレビ番組でこう話し、話題になりましたね。 古典的な心理分析の中に「退行」という用語があります。何らかの理由で大人が“子供返り”を始めた状態を指し、急速に幼児のようにはしゃいだり、泣いたり、あるいは子供のころの遊びに没頭したりします。

 退行の原因はストレスとされます。強いストレスがかかって現実での生活に困難が生じた際、一部の大人は子供返りして、現実世界から離れようとします。退行している間は難しい決断は避けられ、周囲からのフォローも入ります。退行の時間が長く続き、それによって社会機能が落ちるようなら、「解離性人格障害」という精神疾患の患者として認定されます。

 ペットや人形、家具などを擬人化し、熱心に話しかける大人の振る舞いは、退行の一症状とも見ることができます。人間社会のルールを犬に教えるための会話ならともかく、友達か恋人のように犬と語り合う大人は、現実世界で相当の苦痛を抱えていると考えていいでしょう。

☆よしだ・しん=内科・外科をともに扱う総合診療科医を経て、現在は精神科医。その後は非常勤医師として、刑務所、少年院、ホームレス支援施設、高齢者の在宅診察などに従事し、精神医療のディープな部分につかる。