【イケメンドクター・吉田眞の医学情報のウソ!ホント?】

 多血小板血漿(PRP)療法療法は、患者の血液から赤血球や白血球を取り除き、残った血小板や血漿成分を局所に注射する治療法で、日本国内では健康保険の適用はされません。

「血小板」は出血した血管に取り付いて出血を抑える「壁」になり、いくつかの化学成分を分泌して、血漿の中にある“傷を治す成分”を活性化させ、傷口をふさぐ作用があります。その成分の中には美容で重要とされる「コラーゲン」も含まれるので、欧米ではシワ取り美容にも用いられているようです。自己血液の注射なので「副作用がない」のが最大のウリですが、臨床データが少なく、その効果は不明です。

 田中投手の場合、PRP療法で“断裂した腱の早期治療”を試みるようですが、傷を早く治すことはできても、腱を“より強靱に“変えるほどの効果はありません。PRP療法ではハードな連投に耐えられる肘に作り替えることは困難で、負担の少ない投球ペースを維持する以外、肘の安全は守れないと考えます。

☆よしだ・しん=内科・外科をともに扱う総合診療科医を経て、現在は精神科医。その後は非常勤医師として、刑務所、少年院、ホームレス支援施設、高齢者の在宅診察などに従事し、精神医療のディープな部分につかる。