【なんてったってリハビリ! もしもに備える!基礎知識と最新事情(最終回)】進化するリハビリの今をリポートしてきた当連載。自らも“経験者”である医療ライターの熊本美加氏が最後に伝えたいのは…。

 ある日突然、JR山手線内にて心肺停止で倒れた私。周りの人の迅速な救命救急対応のおかげで生き延びました。

 しかし、脳に酸素や栄養が滞ったため記憶力・注意力・遂行能力が低下する「高次脳機能障害」と診断され、急性期病院からリハビリ病院へ転院。至れり尽くせりだった入院生活から自宅に戻った直後は、不安だらけだったのを思い出します。もう1年以上前ですが、猫餌や猫砂を買い忘れないよう、病院の外来日を間違えないよう、仕事のアポを勘違いしないよう、記憶力・注意力を補うため、「やることリスト作りまくり」「付箋を家中に貼りまくり」「スマホアラートをかけまくり」と3つの作戦を実行。日常生活の全てが実践的なリハビリになっていきました。この連載もリハビリの大切な要素である「役割」「やりがい」になっていたのです。

 私自身の経験で感じたのは、リハビリには楽しさが不可欠ということ。日々のトレーニングで「まひしていた右手が広げられるようになった」「時間がかかっても計算を間違えずできるようになった」といった、牛歩であっても成長を実感する瞬間には喜びがありました。さらに「スゴイ」「イイネ」「頑張ってるね」と周囲からのちょっとした声かけでモチベーションはアップ。いっそう楽しい気分になれました。

 そこで、最終回に紹介したいのは「医療福祉エンターテインメント」集団、NPO法人のUbdobe(ウブドベ)が企画・開発を手がけた「デジリハ(Digital Interactive Rehabilitation System)」。リハビリを必要とする障害や病気のあるお子さんたちが、ゲームの要素を盛り込んだアプリを使って、遊び感覚でリハビリができるシステムです。私も入院生活ではベッドでタブレットゲームざんまいだったので、これがあれば夢中になっていたはず(笑い)。

 利用するには、自宅や施設のパソコン(Windowsのみ対応)にデジリハ公式ホームページにてユーザー登録の後にシステムをダウンロード。加えて、センサーの購入が必要です。プレイヤー(リハビリをするお子さん)の状況や目的に合わせて手指、足、目などの動きなどを感知するセンサーを選びます。これらを使ってキャラクターを動かしたり、ゲームに参加したりします。

 現在、アプリは11種類で、随時追加されていく予定。どれもポップなデザインでワクワク感がいっぱい! これならお子さんたちがリハビリに積極的に取り組めるでしょう。4月から正式版の提供が始まります。詳しくはHPをチェック!

 まだまだ進化するリハビリワールドに引き続き注目してください。

 ☆くまもと・みか 医療ライター。昨年、電車内にて心肺停止で倒れ救急搬送。幸運にも蘇生したが、低酸素脳症による高次脳機能障害でリハビリを経験。社会復帰後、あまり知られていない中途障害者のことやリハビリの重要性を発信中。