【なんてったってリハビリ!】「訪問リハビリ」成功の鍵 要介護者にもやりがいと役割を

2021年03月28日 10時00分

訪問リハビリを行う齋藤さん(右)
訪問リハビリを行う齋藤さん(右)

【なんてったってリハビリ! もしもに備える!基礎知識と最新事情】自宅で行う「訪問リハビリ」成功のキーは、やりがいと役割を見つけること。プロの後押しで救われた人も少なくない。医療ライターの熊本美加氏がリポートする。

 訪問リハビリは「自宅で生活をしていく」ことに重きを置いたサポートです! 今回は東京都リハビリテーション病院、医療福祉連携室・地域リハビリテーション科の齋藤正洋さん(作業療法士)に具体的な訪問リハビリの実例を聞きました。

「様々なケースがありますが、印象深いのは70歳代の男性。交通事故に遭い入院。退院後の訪問リハビリで介入したケースです。やや認知症が始まっていたところに高次脳機能障害が加わり、家族に暴力を振るい、デイサービスで問題を起こして断られ、訪問した私にも『何しに来たんだ、出ていけ』とお怒りでした」

 その状況からも、齋藤さんは徐々に信頼関係を築き、話を引き出していきました。すると、事故の前は、自営の鉄工所に、近所を徘徊していた高齢者を保護して食事を振る舞ってご家族に安心するように連絡を入れていた。地域の警察と組んで子供柔道教室を立ち上げた。少年院から出てきた子供を自分の鉄工所に雇い一人前になるまで面倒をみた…。そういったエピソードが続々。人を助け育て、奉仕するのが好きな人だと分かってきたのです。

 そこで齋藤さんは「良かったら私と一緒にボランティアセンターに行って、困っている高齢者を助けてくれませんか?」と提案すると「俺はそういうの大好きだからやるよ」と快諾。実際は、新しいデイサービスを探して、彼を利用者と思わないでボランティアとして掃除などをさせてもらうように齋藤さんが頼んだのです。

 最初は掃除機の電源の入れ方も分からず、洗濯物は干せるけど生乾きのまましまっていたのが、周りにいる人が「こうやったらうまくいく」と教えるうちにできるように!

 以前のデイサービスでは、「折り紙を折らされた」「爺さん婆さんと一緒に歌を歌わせられた」と文句ばかりだったのが、「あの婆さんをこんなふうに面倒みた」「今日は楽しかった」と激変し、家で暴れることは減り、生活はすっかり落ち着きました。一緒に暮らしていた奥さんは、「主人といつ橋から飛び降りようかと考えていたので、こんな生活がくるとは思わなかった」と喜ばれたと言います。

「実は、この方は生活の質は右肩上がりになったのですが、認知機能は低下していました。このようにうまくスイッチが入れば、生活が再構築できる方が多いのです。在宅のリハビリでは、お世話するのではなく、何ができて何ができないかを判別してサポートしていくのがポイントです」(齋藤さん)

 新しい仕組みができ、本人やご家族が上手に生活をマネジメントできるようになったら、デイサービスやケアマネジャーなどにバトンタッチして訪問リハビリは終了になります。

 ☆くまもと・みか 医療ライター。昨年、電車内にて心肺停止で倒れ救急搬送。幸運にも蘇生したが、低酸素脳症による高次脳機能障害でリハビリを経験。社会復帰後、あまり知られていない中途障害者のことやリハビリの重要性を発信中。

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