【長生きのレシピ】家族と取り組んでほしい「人生会議」

2021年03月21日 10時00分

終末期にどんな医療、ケアを受けたいか家族とよく話し合っておこう

【緩和ケア医・大津秀一 長生きのレシピ】新型コロナのワクチン接種が始まっています。これで以前のような生活にすぐ戻れるわけではないでしょうが、再び家族や友人とマスクなしに集える日が早く来ると良いですね。

 そんな中、久々に高齢の親御さんなど家族に会う機会があれば、ぜひ、皆さんに取り組んでもらいたいことがあります。「人生会議」(ACP=アドバンス・ケア・プランニング)です。

 これは終末期にどんな医療、ケアを受けたいかを身近な家族や医師などと話し合って、確認していく作業となります。人生100年時代、とはいえ今回のコロナ禍なども含め誰にも急な病気や急変があり得る中において、医療やケアの方針について日頃から自分の意思を身近に知らせておくのは非常に大切です。

 命の危険が迫った状態になると約70%の方が医療やケアなどを自分で決めたり、望みを人に伝えたりすることができなくなるといわれています。人生会議では、次のような問
いかけについてそれぞれが考えて、それを共有します。

「あなたが大切にしていることは何ですか?」

「あなたが信頼できる人は誰ですか?」

「信頼できる人や医療・ケアチームと話し合いましたか?」

「話し合いの結果を大切な人たちに伝えて共有しましたか?」

 終末期医療の現場を少しでも経験するとわかりますが、そこには絶対の正解はなく、しかも命に関わる難しい決断を強いられます。事後に「あの決断が正しかったのか」と思い悩むご家族はたくさんいらっしゃいます。だからこそ、事前の「人生会議」が重要となるのです。

「最期は家で過ごしたいか」「誰と会っておきたいか」「食事が取れなくなったら胃ろうをするか」など、話し合う内容は医療ケア含め、多岐にわたります。その時、本人と十分相談を重ねて、皆で決断したという実感を持てることが、結果のいかんを問わず多くの人の納得につながるのです。

 医療者の立場においても、ご家族含め満足のいくケアを提供できるよう日々、心を砕いています。緩和ケアに人生会議の要素が含まれているのは、プロセスを大切にするからでしょう。次回は、死ぬときに後悔しないための方策をお伝えしていきます。

 ☆おおつ・しゅういち 茨城県出身。岐阜大学医学部卒業。内科専門研修後、ホスピス、在宅、ホームなど様々な医療機関で終末期医療を実践。東邦大学病院緩和ケアセンター長を経て、オンライン診療も行う早期緩和ケア大津秀一クリニックを設立。多くの終末期患者と向き合ったことで、予防医学にも力を入れる。著書に「1分でも長生きする健康術」(光文社)、「誰よりも早く準備する健康長生き法」(サンマーク出版)など多数。

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