【イケメンドクター・吉田眞の医学情報のウソ!ホント?】

 ある家がゴミで埋もれてしまう時、その原因は精神疾患の発症と、そうでない場合の2通りに分けられます。具体的には次のような分類です。

 認知症や精神疾患患者の場合、ゴミで部屋が汚れることはあっても、基本的には「ゴミ屋敷」を作り上げるまでには至りません。なぜなら、精神疾患の場合は「掃除を怠って部屋を汚す」ことはあっても「家に物品を持ち込む」行動は取らないからです。

 家にいろいろなモノを持ち運んで家屋をゴミ屋敷に成長させる人は、精神疾患ではなく変人、つまり“性格が偏った健常人”がほとんどなのです。

 ゴミ屋敷の住人はもともときちょうめんで、整理整頓が大好き、物持ちの良い人たちです。こうしたきちょうめんな人が年を取り、身体的な活気が落ちてくると、まず“片付け”を怠り始めます。そして、「必要な物は家に揃えておきたい」という衝動と「整理や片付けが面倒くさい」という怠慢が重なることで、年月をかけてゴミ屋敷が作られるのです。

 本人はそれほど困っていないし、治療すべき病気もないため、該当自治体でのゴミ屋敷対策がなかなか進展を見ないのです。

☆よしだ・しん=内科・外科をともに扱う総合診療科医を経て、現在は精神科医。東京医科大学を卒業後、都立松沢病院で研修。その後は非常勤医師として、刑務所、少年院、ホームレス支援施設、高齢者の在宅診察などに従事し、精神医療のディープな部分につかる。2009年にはラジオパーソナリティーを務めた。