【なんてったってリハビリ!】脳卒中は1分1秒でも早い治療が重要!“傍観者”になってはいけません

2021年02月21日 10時00分

惣島厚さんが自らの体験を漫画にしてくれました(作:惣島厚 画:タマリ)

【なんてったってリハビリ! もしもに備える!基礎知識と最新事情】後遺症によってリハビリが必要になる――その原因は当コーナーの執筆者・熊本美加氏のような心疾患だけでなく、脳疾患の場合も少なくありません。後遺症がどの程度残るかどうかは、倒れた直後の対応にかかっているそうです。

 救急搬送されるケースは、私のような心疾患の次に多いのが脳卒中。脳卒中は3つに分けられます。脳血管が詰まる脳梗塞、血管が破れる脳出血、血管のコブが破裂するクモ膜下出血。心疾患に比べると、突然倒れても命を取り留める可能性は高いものの、後遺症を残すことが多く、リハビリが必要になる方がほとんど。私のように「高次脳機能障害」になると、記憶力や注意力が低下し、感情や行動のコントロールが難しくなる、手足のまひ、言語障害、認知機能の低下といったさまざまな症状が現れます。

 脳血管のトラブルで脳細胞が死んでしまうと、むくんでいくのが特徴。頭蓋骨の中で損傷部のむくみが広がって正常な部分まで圧迫してしまう前に治療ができれば、その後の障害は少なくなります!

 太い血管が詰まった場合、その原因となる血の塊を除く「血栓回収」という治療が世界的には主流で、最終健常確認後(発症後)24時間程度が適応とされています。また、脳梗塞になったばかりの超急性期なら、tPAという血の塊を溶かす薬剤を静脈内に点滴するのが有効。日本のガイドラインでは4・5時間以内とされていますが、海外では改定されて6時間に延長されています。とにもかくにも脳卒中は1分1秒でも早く治療をすることが重要なのですが…。

 前回ご登場いただいた惣島厚さんが、救急搬送された経緯が以下。その日、仕事帰りで東銀座から終電に乗車。立っていた時に財布を落とし拾ってもらい「すいません」と言いつつ、「あれ? 何かおかしいな」と椅子に座ったそうです。

 そこで「あれれ? 右半分が動いてない」と気が付くものの意識はあったが、次第に「これはひょっとしたらヤバイかも」と動く左手でスマホを操作し、隣の人に「体動かない助けを呼んで」という文章を見せてアピール。その人はコクッとうなずき次の駅で下車。しかし、その後、誰も助けには来なかった…。惣島さんは終電の終点駅でようやく駅員さんの通報で救急病院に運ばれたのです。

 ケガや急病で倒れた人がいる救急現場に居合わせた人のことを「バイスタンダー」と呼びます。英語では「傍観者」の意味ですが、決して傍観者になってはいけません。私のように心肺停止でバタッと倒れれば周りは反応してくれるかもしれませんが、急病でうなだれていても「寝ているだけ」「ただの酔っぱらい」とスルーされる可能性はあります。

 けれど救急搬送され、リハビリを経験した今は、電車内や公共の場で具合が悪そうな人がいたら注意深く観察するようになりました。いい人になるつもりはなく、とりあえず自分が不安なので、「何かお手伝いできることはありますか?」と声をかけてしまいます。不審がられることが多いですが(苦笑)。

 惣島さんの電車内での発作は脳卒中の前触れであるTIA(一過性脳虚血発作)だったのです。救急搬送された病院で翌朝、本格的な脳梗塞が発症し、即座に治療が開始されました。それは不幸中の幸いと言えます。

 ☆くまもと・みか 医療ライター。一昨年、電車内にて心肺停止で倒れ救急搬送。幸運にも蘇生したが、低酸素脳症による高次脳機能障害でリハビリを経験。社会復帰後、あまり知られていない中途障害者のことやリハビリの重要性を発信中。

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