【イケメンドクター・吉田眞の医学情報のウソ!ホント?】

 創傷(そうしょう=皮膚が切れる傷)の名称はいくつかあります。浅いものでは擦過傷(さっかしょう=すり傷)、傷口が重いものには切創(せっそう)や裂創(れっそう)、さらに挫創(ざそう)や割創(かっそう)などがあります。

 切創は鋭利な刃物で切られた傷で、深部に達すると大量の出血や神経損傷の被害が出ますが、傷口がピッタリふさがることが多く、瘢痕(はんこん=傷痕)はさほど目立ちません。

 裂創とは皮膚が裂けた傷で、表面がギザギザのため治癒後にも傷痕がうっすら残ってしまいます。挫創や割創は裂創に加えて傷口周辺の組織が欠損している状態なので、縫合の際に皮膚が足りなかったり、皮下組織が足りずに患部がヘコんでしまう危険性があります。

 その場合、欠損部を補うために太ももや体幹部の皮膚を切り取り、創部に植皮するのですが、皮膚の質感が違うため、パッと見て分かるような瘢痕になりがちです。

 のこぎりの傷なら裂創に、力強い打撃も加わっていたら挫創となるので、傷痕ははっきり残ってしまうと考えられます。

☆よしだ・しん=総合診療科医を経て、現在は精神科医。非常勤医師として、刑務所、少年院、ホームレス支援施設、高齢者の在宅診察などに従事し、精神医療のディープな部分につかる。