【緩和ケア医・大津秀一 長生きのレシピ】身近に良いかかりつけ医を見つけましょうシリーズの第2弾となります。

 まず基本的なこととしては「かかりつけ医と専門医を使い分けましょう」。これからの時代は自らの価値観に合うように医療を使いこなすことが大切です。自分の望むような医療を自ら選んでいく姿勢が、長生きをするためにも大事となります。今後はオンライン診療が普及するともいわれています。対面ではなく、遠隔診療が可能となる中で、専門的なことは都市部などに集中している専門家に相談し、身近な身体の不調はかかりつけ医に相談するという形式も増えてくるかもしれません。

 その上で身近なかかりつけ医の選び方としては、専門医よりはできるだけ総合的な分野をカバーしているお医者さんのほうがいいでしょう。最近見かける「総合診療科」などもその名の通り、幅広く診てくれます。なぜ総合的な医師を勧めるかといえば、かかりつけ医というのは体の不安はもとより、生活や健康全般、時には身近な家族の相談に乗ってもらうこともあるからです。その意味では専門医よりも特にトータルな視点を持った医師を選択するのが重要となってきます。

 同時に前回も述べましたが、医師のコミュニケーション能力は非常に重要です。というのも、かかりつけ医の大事な仕事として他の専門医と連携することもあります。患者さんの病状を細かく把握して伝えることは、いずれも「腕は良くてもコミュニケーションが…」というお医者さんには難しいかもしれません。よくドラマに出てくるような、一匹狼で孤高の存在…といったような医師はかかりつけ医としては向いていないでしょうね。

 また最近はネットで医院を探す場合もありますね。笑顔の顔写真にひかれて医院を訪れたところ、意外にもつっけんどんで驚いたという声も聞きます。HPなどに掲載されている写真は、当然のことながら、できるだけ感じよく、親しみやすいよう、“映えるように”撮影されていることにご留意ください。

 ネット検索で上位にきているから安心というわけでもありません。広告が絡んで上位にくる場合もあり、大切なのは自分にとって何が大事かをしっかり把握した上で診察に臨まれることです。次回は、いざ診察に臨む上でどのようなことに注意すればよいかについてお伝えします。

 ☆おおつ・しゅういち 茨城県出身。岐阜大学医学部卒業。内科専門研修後、ホスピス、在宅、ホームなど様々な医療機関で終末期医療を実践。東邦大学病院緩和ケアセンター長を経て、オンライン診療も行う早期緩和ケア大津秀一クリニックを設立。多くの終末期患者と向き合ったことで、予防医学にも力を入れる。著書に「1分でも長生きする健康術」(光文社)、「誰よりも早く準備する健康長生き法」(サンマーク出版)など多数。