【ほめ達・松本秀男 人生を変えることば選び】 今年も残り2週間。最終コーナーをとうに過ぎての直線、ゴールはもう見えています。いい形で最後まで走りきりたいですね。こんな時期にも、頭の中でことば選びを意識すると、いい意味で締めくくりができ、素晴らしい来年につながっていきます。

 私の前職は外資系保険会社で、経営企画部にいました。その会社は12月が年度始めで、この時期には幹部社員を集めてのキックオフイベントを行っていました。

 企業ですから、予算や戦略が中心で、過ぎた年度については数字のみでの振り返りになりがち。予算達成した部門は称賛されるものの、そこに至る努力やそれをサポートする他の部門には光が当たりづらいことがあります。

 そこでそのころ、会社の一年を振り返るビデオを作り、各部門の担当者たちの頑張る姿を、幹部社員たちの前で上映するようにしました。若い担当者の頑張る姿に、幹部社員の胸が熱くなります。そして、来年さらに良い会社にしようという機運が生まれます。

 当時のCEOはこう言われました。

「私たちは今までも、業界において数々の伝説を作ってきました。そして今年も、このように社員の皆さんがさまざまな伝説を作ってくれました。ただ、私たちにとって大切なのは、伝説を作り続ける文化。だから常に、伝説は未来にあるものなのです」

 素晴らしい言葉ですね。過去に敬意と感謝を感じながら、未来を目指す姿勢。私たち個人も、小さな伝説を、また来年も作りあげましょう。

 また、個人で取り組めることとして、一年を振り返り「私のオブザイヤー」を選ぶこともオススメしています。実は日本ほめる達人協会でも、毎年各界で活躍される方や団体の中から「ほめ達オブザイヤー」を選んで勝手に表彰させていただいていますが、そんなふうに個人で「私のオブザイヤー」を選ぶと、楽しく今年を振り返ることができ、来年への勇気や元気につながります。

 さらには、自分にも表彰をしてあげる。どんな小さな賞でもかまいません。「在宅がんばったで賞」「飲み会自粛したで賞」「人生でもっとも手を洗ったで賞」などなど。

 今年一年をしっかり確かめ、それを足場に、光り輝く来年に踏み出しましょう。伝説は未来にある!

☆まつもと・ひでお 1961年東京都生まれ。国学院大学文学部卒業後、さだまさし氏の制作担当マネジャー、ガソリンスタンド経営を経て、45歳で外資の損害保険会社に入社。トップ営業マンとなり数々の実績を作る。現在は一般社団法人・日本ほめる達人協会専務理事を務め、企業セミナーなど多方面で活躍中。著書に「できる大人のことばの選び方」や「できる大人は『ひと言』加える」など。