【石原結實 病気を吹き飛ばす食図鑑】アジア原産のヒガンバナ科の食物。「ネギ(葱)は気の義なり。根を賞するにより根葱という」と古書にあるように、強力に「気を高める作用」があることが昔から知られていた。

 ニンニク、ニラと共に、ネギは「葷(くん)」と呼ばれ、酒と共に禅寺の山門に入ることを禁じられていた(葷酒、山門に入るべからず)のは、ネギには強壮・強精作用が強力な故、修行の邪魔になる、ということなのだ。

 ネギの辛味成分「アリイン」(アリル硫化物)は
 ①胃腸を刺激して食欲、消化吸収力を増す。
 ②ビタミンB1の吸収を高め、疲労回復を促す。
 ③血管を拡張し、血流をよくして体を温め、風邪の時「発汗・解熱・消炎作用」を発揮してくれる。

 などの作用がある。よって、冷え性、うつ気分、風邪の予防・改善に奏効する。

 ネギの青い部分には、βカロチン、ビタミンB1・B2・C、ニコチン酸などのビタミンやカルシウム、リン(骨の強化)、マンガン(造血作用)などのミネラルが存分に含まれるので、冬場のビタミン・ミネラル補給にはなくてはならない野菜だ。味噌汁、うどん、そば…などに存分に入れて大いに食べられるべし。

 民間療法として
 ①風邪…ネギを細かく刻み、適量の味噌と共にどんぶりに入れて熱湯を注ぎ、飲んですぐ寝る。
 ②食欲不振、二日酔…茶碗に、細かく刻んだネギに味噌とすりおろし生姜を適量入れて熱湯を注いで飲む。
 ③不眠症…シソの葉1枚と同量のネギを刻んで熱い味噌汁かスープに入れて、寝る前に飲む。手足が温まり、気分がおちつき、安眠できる。

 ◆石原結實(いしはら・ゆうみ)1948年、長崎市生まれ。医学博士。イシハラクリニック院長として漢方薬と自然療法によるユニークな治療法を実践するかたわら、静岡・伊豆でニンジンジュース断食施設の運営を行う。著書は300冊超でベストセラー多数。最新作は「『空腹』の時間が病気を治す」(青萠堂)。