【ニンゲン行動学】セックスの後は男性より女性のほうが眠くなるワケ

2020年12月06日 10時00分

【ココロとカラダのニンゲン行動学】以前、精液に抗うつ作用があることを話題にした。男が女とセックスするからには、ただするだけでなく、何らかの作用をも及ぼし、操作するはずだ。その一つが抗うつ作用だ。気分を良くするのである。

 精液にはまた別の作用もあった。鎮静作用、つまり女を眠りに誘う。

 アメリカ・ニューヨーク州立大学オールバニー校のG・G・ギャラップ・ジュニア氏らは2020年、この大学の学生、男98人、女128人に対し、アンケート調査を行った。いずれもヘテロセクシャルで、普通にセックスをしていて、夜に行う傾向にある者たちだ。
 すると、セックスの後、女のほうが男よりも眠くなる傾向がある。

 セックス時にオーガズムが起きると、男も女も眠くなる。しかし女はオーガズムのある・なしに関係なく眠くなる。しかも、コンドームなしのセックスのときのほうがより眠くなる。

 マスターベーションでは男女で眠たくなる度合いに差がない。

 さらに昼と夜のセックスを区別する。昼の場合はセックスの後、眠ることはあまりないが、夜ならそのまま寝てしまうことが多いからだ。

 このような結果からギャラップ・ジュニア氏らは、こう説明している。二足歩行となった人間では、セックスの後、女の体から精子が重力によって流出しがちである。しかしセックスの後、眠くなってあおむけになって寝てしまえば、精子の流出を防ぐことができる。結局、正常位が一般的になったのはこのような事情からではないか。

 さらに、女が眠ってしまうと、男は女をガードすることになるし、女にとっても、男が他の女のところへ行くことを防ぐことができるのだ。

 では精液中のどんな成分が眠気を誘うのか。この件については別の研究者たちがプロラクチンではないかと推測している。女では生のセックスの時のほうが、マスターベーションの時よりもプロラクチンのレベルが5倍も高くなる。

 そして授乳中、つまりプロラクチンが大量に分泌されている時、女は催眠術でもかけられているかのように眠くなるからだ。
 精液にもプロラクチンが含まれ、女の行動を左右しているらしい。

 ☆竹内久美子(たけうち・くみこ)京都大学理学部卒業後、同大学院で日高敏隆氏のもと、動物行動学を学びエッセイストに。「そんなバカな! 遺伝子と神について」(文春文庫、及び電子書籍)で講談社出版文化賞科学出版賞受賞。最新刊「動物が教えてくれるLOVE戦略」(ビジネス社)が発売中。

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