【長生きのレシピ】怒りが病気の原因に… 有酸素運動が効果的

2020年11月23日 10時00分

ウオーキングなどの有酸素運動は脳の萎縮の悪化を遅くする働きも

【緩和ケア医・大津秀一 長生きのレシピ】前回までは健康的に長生きするための食事法をお伝えしました。今回からは健やかに楽しく過ごすための考え方をお伝えしようと思います。たとえ長生きできたとしても、日々何かに文句を言っていたり、周囲に怒ってばかりいてはつまらないですよね。ひいてはストレス過多となり病気に…なんてことにもなりかねません。そういった事態を避けるための方法を具体例とともにご紹介していきます。

 70代のAさんはいろいろなことに腹が立って仕方がありません。脳梗塞の後遺症があり、左半身に軽度のまひが残っており外出時にはつえを欠かせないのですが、電車に乗っても優先席は埋まっていて、Aさんの体の様子を気にする人はおらず、誰もがスマホをいじって無関心です。昨今、当たり前の光景とも言えるかもしれませんが、Aさんは腹が立って仕方がありません。ついには、近所で友達を呼んでにぎやかに過ごしているご家庭にクレームをつけに行く始末。家主の若い女性と口ゲンカをしてしまいました。Aさんは自身でもキレやすいとは分かっていますが、どうにも怒りがおさまらないのです。

 このような方は意外と多いのかもしれませんね。カギを握るのは脳の機能、特に大事なのは前頭葉の前頭前野です。記憶や認知、意欲、判断に関係しているのが「背外側前頭前野」という部分で、コミュニケーションや共感、社会性に関係しているのが「背内側前頭前野」といわれる部分です。ここは攻撃行動にブレーキをかける働きも行っています。

 前頭葉は加齢とともに萎縮することがわかっています。「年を取るとキレやすくなる」というのはこの前頭葉の萎縮と関係がある可能性もあります。ただ脳の萎縮の早さや程度は個人差が大きいです。

 では脳の萎縮を少しでも遅らせるためにはどうしたらいいのか? 実際に脳細胞は再生もしますし、萎縮に影響する因子は個人の努力次第で調節することができます。

 これまでの研究結果では、脳の萎縮を進行させるものとして脳血管疾患、飲酒、喫煙、一方、萎縮を防ぐものとしては有酸素運動が挙げられています。実際に男性の場合、1日の歩数が最も多いグループは少ないグループと比べて脳の萎縮の悪化が遅くなることが分かっています。

 まずは有酸素運動で脳の萎縮を食い止めるとして、過剰にストレスを発生させないためにも気持ちのコントロール法は身につけたいところ。次回から具体的な方法を見ていきましょう。

 ☆おおつ・しゅういち 茨城県出身。岐阜大学医学部卒業。内科専門研修後、ホスピス、在宅、ホームなど様々な医療機関で終末期医療を実践。東邦大学病院緩和ケアセンター長を経て、オンライン診療も行う早期緩和ケア大津秀一クリニックを設立。多くの終末期患者と向き合ったことで、予防医学にも力を入れる。著書に「1分でも長生きする健康術」(光文社)、「誰よりも早く準備する健康長生き法」(サンマーク出版)など多数。

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