【なんてったってリハビリ!】「リハビリテーション科」その人らしい活動育む医学

2020年11月08日 10時00分

本田有正先生(東京都リハビリテーション病院リハビリテーション科医局員)

【なんてったってリハビリ! もしもに備える!基礎知識と最新事情】心肺停止で倒れた医療ライター・熊本美加氏。命は助かったものの、脳に酸素が行き届かない状態が約1時間。そのダメージで、記憶力や注意力などに問題が起きる「高次脳機能障害」と診断を受ける。復帰の過程で知ったリハビリワールドをリポート――。

「リハビリについてあまりにも無知で…いろいろご迷惑おかけしました」と、回復期でお世話になった「東京都リハビリテーション病院」の私の主治医だった本田有正先生を訪ねてきました。

「ERやコードブルーといった救命救急についてはよくドラマになっていますが、リハビリはメディアに取り上げられることが少ないので、残念ながら世間に知られていないんです」と本田先生。確かにドラマでは、突然のアクシデントで救急車やヘリコプターで救急搬送され、生死の境をさまよい、一命を取り留め笑顔で退院したところでエンドロール。その後、どうなったかはわかりません。

「心筋梗塞、脳卒中、外傷など救急搬送された方は、障害の程度は異なりますが、リハビリが必要になるケースは多いです。リハビリは急性期で病状が落ち着いたらすぐに始めて、回復期、維持期、そして人によっては一生付き合うもの。地道に続けるのでドラマ化しても盛り上がりには欠けるのかもしれません…」(本田先生)

「クララが立った!的な劇的な感動はないのですか?」と聞くと、先生は「もしも患者さんがある日突然、車椅子から立ったとしても、そこにたどり着くまでに、日々のリハビリで積み重ねた努力の成果でしょう」。一朝一夕にはいかないのがリハビリなのです。

 そもそも「リハビリテーション科」があることを皆さんはご存じでしたか? 私は医療ライターなのに知りませんでした。入院中に何度も「先生のご専門は整形外科? 循環器内科?」と質問し、そのたびに「リハビリテーション科医です」と本田先生は答えてくれました。でも私は整形外科、脳神経外科、循環器科といったドクターがリハビリ科を担当していると思い込んでいたのです。そういう病院もありますが、「リハビリテーション科専門医」は存在しています。

 それは、さまざまな疾患、障害などにより低下した機能と能力を回復し、残存した障害や不利益を克服するために、病気だけではなくその人を見て(趣味や嗜好、希望や目標)、その周りの人(家族、会社)との関わりを見て、さらに制度(社会福祉サービス)を使って、その人らしい活動を育む医学…司令塔になって入院から退院までの人、物、制度といった全般をコントロールします。本田先生は初めからリハビリテーション科を専攻している後期研修医で、まだ全国で約100人というレアな存在なのです。

 ☆くまもと・みか 医療ライター。昨年、電車内にて心肺停止で倒れ救急搬送。幸運にも蘇生したが、低酸素脳症による高次脳機能障害でリハビリを経験。社会復帰後、あまり知られていない中途障害者のことやリハビリの重要性を発信中。

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